AMDの最新APU「Ryzen AI Max+ 395」通称「Strix Halo」が、Geekbenchベンチマークにおいてマルチコアスコアで19,484ポイントを記録し、その卓越した性能を示した。16コア32スレッド構成に加え、RDNA 3.5アーキテクチャを採用した統合グラフィックス「Radeon 8060S」を搭載しており、これまでのAPUを凌駕する進化が注目を集めている。

今回のスコアは、動作クロック3.0 GHz(ベース)から5.1 GHz(ブースト)に至るCPU性能を反映したものであり、ASUS ROG Flow Z13を通じて明らかになった。また、競合するディスクリートGPUとの性能比較や2025年CESでのさらなる発表が予想され、Strix Haloはゲーミング市場をはじめ幅広い用途に革命をもたらす可能性を秘めている。

次世代APUの鍵を握る16コア32スレッド構成の強み

AMD Ryzen AI Max+ 395「Strix Halo」の最大の特徴は、16コア32スレッドというハイエンドプロセッサに匹敵する構成である。この仕様は、従来のAPUが抱えていた性能の限界を打破するものであり、デスクトップPC並みの処理能力をモバイルデバイスで実現可能とする。

特に、5.1 GHzのブーストクロックは、高負荷なタスクをスムーズに処理できる能力を示しており、クリエイティブな作業やAI計算などの分野で大きな恩恵をもたらす。

この性能を支えるのが、Zen 5アーキテクチャの最適化とRDNA 3.5ベースの統合グラフィックス「Radeon 8060S」である。Radeon 8060Sは、40コンピュートユニットを備え、ゲーミング性能やGPUアクセラレーションタスクの処理速度を格段に向上させている。

これにより、予算型ラップトップ市場においても、ディスクリートGPUを搭載したデバイスに迫るコストパフォーマンスを提供できると期待される。

このような革新が実現した背景には、AMDの一貫した技術進化への取り組みがある。特に、Wccftechが報じたGeekbenchスコアはその成果を象徴するものであり、同社の次世代プロセッサ開発における競争力を再認識させるものといえる。


統合グラフィックス「Radeon 8060S」がもたらすゲーミング性能の進化

Ryzen AI Max+ 395に統合された「Radeon 8060S」は、これまでのAPUに搭載されていたRadeon 880Mや890Mを超える性能を発揮する。40コンピュートユニットを備えるこのグラフィックスは、軽量なゲーミングから高度な計算を必要とするタスクまで、幅広い用途に対応可能である。さらに、RX 7600クラスのディスクリートGPUと競合する能力を持つことが期待されている点も注目すべきである。

統合グラフィックスは、特にゲーミングラップトップ市場で大きな影響を及ぼすだろう。Radeon 8060Sは、ディスクリートGPUを必要とせずに高いパフォーマンスを実現し、軽量かつバッテリー効率の良いデバイスの設計を可能にする。これにより、デバイスメーカーにとってはコスト削減、ユーザーにとってはコスパの高い選択肢を提供できる。

一方、AMDが統合グラフィックスの強化を推進している背景には、ユーザーの多様化するニーズへの対応がある。高性能と省電力を両立するStrix Haloの登場は、モバイルデバイスの使用感を一変させる可能性があり、次世代のゲーミングと作業効率向上の両面で注目される技術進化といえる。


Geekbenchスコアから読み解くプロセッサ市場の競争の行方

Ryzen AI Max+ 395のGeekbenchスコアが示す性能は、市場競争の新たな局面を予感させるものだ。シングルコア2928ポイント、マルチコア19484ポイントという結果は、競合他社製品を意識した数値であり、特にモバイルAPUとしては際立った性能である。これにより、AMDは高性能デバイス市場での競争力をさらに高めると考えられる。

一方で、このスコアはまだ一部の性能指標に過ぎない。実際の使用環境における持続性能や消費電力の効率性など、製品の総合的な評価はさらに詳細なテストを要するだろう。ただし、Zen 5アーキテクチャとRDNA 3.5の組み合わせが新たな可能性を提示している点は否定できない。

AMDは2025年のCESでさらなる発表を予定しており、Strix Haloを含む新製品群がどのような市場反応を得るか注目される。Wccftechが指摘したように、この製品は単なる性能向上にとどまらず、モバイルデバイス市場全体の変革を予兆するものとして位置づけられるだろう。