未発表のAMD「Ryzen AI Max 395 Plus」を搭載したAsus ROG Flow Z13が、来月のCES 2025で正式発表される見込みである。この新チップは、Zen 5プロセッサ16基とRDNA 3.5グラフィックスユニット40基を搭載し、統合型GPUとして史上最速を目指す設計だ。その性能は従来製品の2.5倍に及ぶとされ、モバイルゲーミングの常識を覆す可能性がある。

また、このタブレットには13.4インチの180Hzタッチスクリーン、32GBのRAM、1TBストレージを搭載し、ポータブルながらもデスクトップに匹敵する性能を誇る。AMDがこの新世代チップで描くのは、ゲーミングデバイスのさらなる進化だ。性能向上により、タブレットPCが本格的なゲーミングプラットフォームとして脚光を浴びる未来が期待される。

AMD Ryzen AI Max 395 Plusの技術仕様と驚異のグラフィック性能

AMDの新世代統合GPU「Ryzen AI Max 395 Plus」は、40基のRDNA 3.5グラフィックスコンピュートユニットと16基のZen 5プロセッサコアを搭載する。この構成は従来モデル「Ryzen AI 9 HX 375」の16基GPUユニットと比較して約2.5倍のパワーを発揮し、これまでの統合型GPUの限界を大きく超える可能性がある。

特に40基のGPUコンピュートユニットの採用は、ディスクリートGPUの性能に肉薄するほどのグラフィックス能力をポータブルデバイスにもたらす。単体GPUと同等の最大80ワットという電力を統合GPUで実現することで、AAAタイトルの高解像度ゲーミングや高度なグラフィック処理が可能になるだろう。この技術進化は、デスクトップPC専用GPUとの性能差を劇的に縮めることになる。

さらに、統合GPUながらRDNA 3.5アーキテクチャを採用する点も特筆すべきだ。RDNA 3.5は、エネルギー効率と演算性能のバランスに優れ、最新ゲームエンジンやAI機能への最適化が進んでいる。VideoCardzが指摘する通り、AI対応チップとしても期待されており、グラフィックス以外の分野でも活躍する可能性がある。

AMDがこの新技術を採用することで、統合型GPUが一般的なノートPCやタブレット向け市場での存在感を高めることは間違いない。性能と効率の向上により、これまで限界とされていたモバイル端末での重い処理が実現可能となるだろう。

Asus ROG Flow Z13の進化と高性能モバイルゲーミングの新境地

Asus ROG Flow Z13は、AMD Ryzen AI Max 395 Plusの力を最大限に引き出す仕様となっている。13.4インチの180Hz対応タッチスクリーンは、モバイルデバイスとしては驚異的なリフレッシュレートを誇り、ゲーミング体験の滑らかさを大幅に向上させる。また、アスペクト比16:10のディスプレイは視野の広がりを確保し、没入感を高める設計だ。

搭載される32GBのLPDDR5X RAMは高帯域幅と低消費電力を実現し、同時に1TBのストレージは大容量データやゲームの保存に十分な余裕を提供する。Windows 11との組み合わせによって、シームレスな操作環境が整い、ゲーミングやクリエイティブワークに適したデバイスとなる。

このようなスペックが揃うことで、ROG Flow Z13は単なるタブレットPCの枠を超え、本格的なゲーミングプラットフォームへと進化している。モバイルゲーミングはこれまで性能の制約が大きかったが、AMDとAsusの技術革新によって、デスクトップに匹敵するパフォーマンスを外出先でも楽しめる時代が近づいているのだ。

AsusがROGシリーズで培ってきたゲーミング技術とAMDの最新GPUが融合することで、モバイルゲーミング市場は新たな段階に入る。これまでのノートPCやタブレットとは一線を画す性能は、ゲーマーやクリエイターにとって大きな武器となるだろう。

AI統合チップがもたらす未来とAMDの戦略

AMD Ryzen AI MaxシリーズがCES 2025で正式発表される見込みであることから、同社の戦略にはAI技術のさらなる普及が見え隠れする。AI対応のプロセッサと強力な統合GPUを一体化することで、AMDはゲーミングだけでなくAI分野にも本格参入しようとしている。

AI機能は近年、グラフィック処理やエネルギー効率の最適化に不可欠な要素となっており、AI Maxシリーズの名称が示す通り、AI演算能力は大きな強化が図られていると考えられる。これによって、リアルタイムでのAI支援型画像処理や高度な予測演算が可能となり、クリエイティブ用途や開発分野でも幅広く活躍するだろう。

AsusのROG Flow Z13はAMDのAI Max 395 Plus搭載端末として初披露されるが、今後、他メーカーもAMDの新チップを採用する可能性が高い。これにより、ゲーミングPCやタブレット市場全体に革新が波及し、AI統合チップが次世代モバイルデバイスの標準となる日も遠くないだろう。

AMDがこのタイミングで新世代AIチップを発表することは、インテルやNVIDIAなどの競合に対する強い挑戦とも取れる。今後、CES 2025での正式発表を通じて、AMDがどのようなビジョンを示すのかが注目される。