Windows 11 24H2に、JPEG XL(.jxl)フォーマットのサポートが密かに追加された。JPEG XLは従来のJPEGよりも高圧縮かつ高画質を実現し、写真家向けの高度な機能を備えた新世代の画像フォーマットだ。

AppleがiPhone 16シリーズでJPEG XLをネイティブサポートしたのに続き、Microsoftも対応を進めている。しかし、Windows 11ではOS標準の機能として組み込まれるのではなく、Microsoft Store経由で拡張機能として提供される方式が採用された。

JPEG XLは圧縮率の高さに加え、カラー表現や可逆圧縮に優れるのが特長だ。Windows 11上でのテストでは、JPEGと同等の画質を維持しつつ、ファイルサイズが約48%縮小する結果が得られた。一方で、「フォト」アプリでは開けないなどの制限もあり、実用面では今後のアップデートが鍵となる。

JPEG XLとは何か 従来のJPEGと何が違うのか

JPEG XLは、従来のJPEGフォーマットの進化形として開発されたロイヤリティフリーの画像フォーマットである。最大の特徴は、優れた圧縮率を持ちながらも画質を損なわない点にある。JPEGと比較すると、同じ品質を維持しながら最大75%のファイルサイズ削減が可能とされており、ストレージ容量の節約や高速なデータ転送に貢献する。

さらに、JPEG XLは可逆圧縮と非可逆圧縮の両方をサポートする。これにより、画質の劣化を伴わずに元の画像を完全に復元できる可逆圧縮を選択できる点が、従来のJPEGにはない大きな利点となる。また、HDR(ハイダイナミックレンジ)や広色域への対応も強化されており、特に写真家やデジタルアーティストにとっては魅力的なフォーマットだ。

JPEG XLが他の新世代フォーマットと異なるのは、その設計思想である。WebPやAVIFはビデオコーデック技術を基にしているのに対し、JPEG XLは静止画向けに最適化されている。このため、既存のJPEGとの互換性が高く、変換時の画質劣化がほとんど発生しない。こうした特性を踏まえると、JPEG XLは将来的に標準フォーマットとして定着する可能性がある。

Windows 11でのJPEG XL対応 Appleとの関係とは

Windows 11 24H2では、JPEG XLフォーマットのサポートが追加された。ただし、標準機能として組み込まれたわけではなく、Microsoft Storeで配信されている「JPEG XL Image Extension」をインストールする必要がある。この拡張機能は、Windows 11の最新バージョンである24H2でのみ動作し、過去のバージョンやWindows 10では利用できない仕様となっている。

AppleはiPhone 16シリーズでJPEG XLのネイティブサポートを開始しており、これがMicrosoftの対応を促した可能性がある。過去にも、AppleがiOS 11でHEIF(HEIC)とHEVC(H.265)を導入した際、Microsoftはこれらのフォーマットをサポートする拡張機能を追加している。同様の流れを考えると、JPEG XLも今後のWindowsアップデートで標準サポートされる可能性がある。

しかし、現時点ではWindows 11の「フォト」アプリではJPEG XLを開くことができないという問題がある。一方で、エクスプローラーではサムネイルやファイルプレビューが正常に表示されるため、システムレベルでの対応は進んでいるようだ。今後、Microsoftが公式アプリのアップデートでJPEG XLのフルサポートを実施するかが注目される。

JPEG XLは普及するのか 他のフォーマットとの競争

JPEG XLの登場により、画像フォーマットの勢力図が変わる可能性がある。現在、HEIC(HEIF)やAVIFが高圧縮フォーマットとして普及しつつあるが、それらはもともとビデオ圧縮技術を基にしており、画像用途に特化したものではない。一方、JPEG XLは静止画向けの最適化が施されており、JPEGの後継としての位置づけが強い。

JPEG XLの強みは、従来のJPEGファイルと高い互換性を持ちながらも、より高画質で圧縮効率の良い保存が可能な点だ。特に、可逆圧縮によって元のデータを完全に復元できるため、フォトグラファーやクリエイターにとって大きなメリットがある。

しかし、JPEG XLを完全に活用するにはソフトウェア側の対応が必要となる。現時点で主要なブラウザや画像編集ツールがどの程度サポートを進めるかが、普及の鍵となる。また、JPEG XLが一般ユーザーに広く普及するかどうかは、スマートフォンやカメラメーカーの動向にも左右される。

AppleがiPhoneでネイティブ対応したことは大きな一歩だが、Android端末やPC環境でのサポート状況がどうなるかは不透明だ。今後のソフトウェアアップデートや各社の対応次第では、JPEG XLが次世代の標準フォーマットとして定着する可能性もある。

Source:Windows Latest