次世代プロセッサ「Core Ultra 5 255F」がGeekbenchに登場し、その性能が初めて明らかとなった。シングルコアでは2,653ポイント、マルチコアでは13,028ポイントを記録し、現行のCore i5 13600をわずかに上回る結果となっている。一方で、同クラスのRyzenシリーズには依然として性能差が見られ、競争は激化している。
特にRyzen 7 9700Xとはシングルコアで29%、マルチコアで38%の性能差があり、Ryzen 5 9600Xとも一定の開きが存在する。ただし、発売までのファームウェアアップデートによる性能向上の可能性が示唆されており、最終的な評価は製品版の登場を待つ必要がある。この結果がCPU市場の勢力図をどう変えるか、注目が集まる。
Core Ultra 5 255Fの構成と性能を解析する
Core Ultra 5 255Fは、10コア構成(6つの高性能コアと4つの高効率コア)を採用している。この「6P4E」という構成は、従来のCore i5シリーズと比べてマルチタスク性能を強化する設計となっている。一方で、AMDのRyzenシリーズと比較すると、コア数の効率化が課題として浮上している。
特に、同じ価格帯のRyzen 5 9600Xが6コアでありながらシングルおよびマルチスレッド性能で優位に立っていることから、Intelが追求する効率性の方向性に注目が集まる。
また、Geekbenchスコアの比較ではCore i5 13600を超える性能を示しつつも、Ryzen 7 9700Xには依然として差をつけられている。これは、Intelの「ハイブリッドアーキテクチャ」が単純なコア数増加ではなく、負荷分散やエネルギー効率を優先しているためと考えられる。このアプローチが実際の利用シナリオでどの程度の利点をもたらすか、今後の検証が必要となるだろう。
AMDとの競争が示すCPU市場の動向
Ryzenシリーズとの比較で見られる性能差は、単なるベンチマーク数値以上の意味を持つ。AMDは高クロック化による性能向上とコア数の増加を推進している一方で、Intelは効率性と負荷分散を重視する戦略を取っている。例えばRyzen 7 9700Xがシングルコアで29%、マルチコアで38%の優位性を持つ一方で、Core Ultra 5 255Fは消費電力の最適化や発熱抑制に特化している可能性がある。
ただし、Geekbenchの結果は製品性能の一側面に過ぎず、実際の使用状況における体感速度や消費電力の差異が最終的な選択肢に影響を及ぼすことが予想される。特に、ゲーマーやクリエイター向けの用途では、ベンチマーク以上に長時間使用時の安定性や発熱処理能力が重視されるため、最終的な製品性能がどう評価されるかが焦点となる。
ファームウェア更新と製品完成度の行方
Core Ultra 5 255FのGeekbenchスコアは、製品完成前のプロトタイプ版である可能性が高い。特に、ファームウェアの最適化が進むことでスコアが向上する可能性がIntelの公式コメントや技術者の見解からも示唆されている。これは過去のIntel製品においても見られた傾向であり、最終的な製品では性能や安定性が改善されることが期待される。
また、GeekbenchがCPUのすべての性能を正確に反映するわけではない点も留意が必要だ。例えば、マルチコア性能が強調されがちなこのベンチマークでは、実際のアプリケーションやゲーム環境での挙動とは異なる結果が出ることもある。Intelがこれをどう克服し、最終的なユーザー体験を向上させるかが、競争力の鍵となるだろう。