AMDは、2025年に向けて次世代Radeon RX 8000シリーズ「RDNA 4」モバイルGPUを発表し、ゲーミングノートPC市場への新たなアプローチを見せる。今回のシリーズには、16GB、12GB、8GBのGDDR6メモリを搭載した複数のモデルが用意され、最大175WのTGPを誇る。
Navi 48ベースの上位モデルでは256ビットメモリバスを通じて16GBのメモリが提供され、192ビットバス上で12GBメモリを搭載した構成もラインナップに加わる。一方、エントリーレベルのNavi 44 GPUは128ビットメモリバス上に8GBのメモリを搭載し、75Wから150WのTGPを持つ仕様となっている。
これにより、AMDは「King of the Hill」からメインストリームへのシフトを強調し、2025年のゲーミングノートPC市場で多様なユーザー層への対応を目指すとみられる。
AMDの新たな戦略「メインストリーム集中」とは何か
AMDは、これまでの「King of the Hill」戦略が効果を発揮しなかったと認識し、次世代「RDNA 4」アーキテクチャでメインストリーム市場に注力する方針を打ち出している。従来、最上位の性能を追求し競合と肩を並べることに重きを置いてきたが、結果として供給過剰に陥った経緯がある。
これに対し、RDNA 4では16GBや12GB、8GBの多様なメモリ構成を用意し、性能と消費電力のバランスを重視することで、多くのユーザーが求める「実用的なハイパフォーマンス」を提供しようとしている。例えば、16GB GDDR6メモリを搭載したNavi 48 GPUは、256ビットのメモリバスを採用し、従来の最上位モデルに迫る性能を実現しているものの、無駄を削ぎ落とすことで消費電力175Wに抑えている。
これは、ゲーミングノートPCにおける現実的な使用環境に合わせた設計思想の表れである。TweakTownやGolden Pig Upgradeによる情報では、2025年の市場投入を目指しているとのことだが、こうした戦略転換はAMDにとって大きな賭けであり、同時にゲーミング業界にも影響を与える可能性がある。
新アーキテクチャ「RDNA 4」によるGPU性能の変化
次世代RDNA 4アーキテクチャは、AMDのGPU設計においてさらなる進化を遂げたものである。今回のRadeon RX 8000シリーズは、上位モデルのNavi 48とエントリーレベルのNavi 44の2つのラインに分かれ、それぞれに異なるメモリ容量やバス幅を持つ構成が用意されている。
Navi 48ベースの上位モデルは16GBまたは12GBのGDDR6メモリを搭載し、広いメモリバスを持つことで高負荷のゲームや高解像度環境でも安定したパフォーマンスを発揮する。一方、Navi 44ベースのエントリーモデルは、128ビットメモリバスと8GBのGDDR6メモリを搭載し、低TGP(75-150W)の範囲で省エネ設計がされている。
これにより、ゲーミングノートPCの長時間使用にも適応し、性能と省電力性のバランスを取ることができるとされる。AMDはこのアーキテクチャにより、従来の高性能重視から「現実的な性能重視」へと一歩踏み出し、広範なユーザー層に対応したい考えとみられる。
供給過剰が招いた遅延と今後の展望
AMDは、RDNA 3アーキテクチャの供給過剰により市場への投入が遅延したという問題に直面した。これは、最上位モデルへの集中がもたらした副産物であり、結果として流通に余裕が生じていたためである。この遅延の影響から、RDNA 4の投入時期は2025年第1四半期以降になる見込みであるとされている。
こうした背景には、AMDの市場戦略の見直しがあると考えられ、今後のゲーミング市場の変化に合わせて同社が新たなアプローチを模索している様子がうかがえる。RDNA 4は、AMDの戦略転換を象徴する製品であり、メインストリーム市場を強化しつつ、競合他社との違いを打ち出そうとしている。
特に、消費電力を抑えながらも性能を維持するための設計が施されており、ゲーミングノートPC市場において注目を集めるだろう。