AMDは2024年第3四半期にデスクトップCPU市場で28.7%のシェアを獲得し、2016年以来最大の成長を記録した。特に3D V-Cache搭載モデルや新たに発表されたRyzen 9000シリーズの販売が業績を牽引し、競合するIntelのシェアを切り崩したと見られる。また、データセンター市場においてもIntelの収益を上回り、35.49億ドルの収益を達成したことが注目を集めている。

最新のMercury Researchの調査によれば、デスクトップ収益シェアも27.3%に達しており、前年同期からの飛躍的な成長を示している。さらに、AMDはモバイルCPU市場でもシェアを拡大しつつあり、Ryzen AI 300シリーズAPUが市場の需要に応える形で寄与しているという。

AMDが示すデスクトップ市場での躍進の背景

AMDは、2024年第3四半期にデスクトップCPU市場で28.7%のシェアを記録し、市場における影響力を増している。この躍進の背景には、Ryzen 9000シリーズや3D V-Cache搭載モデルといった新技術の投入がある。

これらの製品は、ハイエンドユーザーの性能ニーズに応えると同時に、ゲーミング市場やクリエイター向け需要を的確に捉え、Intelが持つ市場シェアに食い込む結果をもたらした。特に、Ryzen 9000シリーズはコストパフォーマンスにも優れており、購入層の幅を広げる要因となっていると考えられる。

Mercury Researchのレポートによれば、AMDは今回の四半期で2016年以来の最大の成長を達成しており、ここからも需要拡大の強さがうかがえる。AMDの積極的な製品ラインナップの更新と価格競争力は、ユーザーの選択肢を増やし、Intelとの競争において着実に優位性を築いているといえるだろう。

データセンター事業でIntelを凌駕した理由とその意義

AMDはデータセンター市場においても、Intelを凌駕する成長を遂げている。Mercury Researchの調査によると、AMDのサーバー市場シェアは24.2%に増加し、収益では35.49億ドルに達している。これは、Intelの33億ドルを上回り、データセンターおよびAI市場で初めてIntelを追い越した形だ。

この収益の増加は、EPYCプロセッサが大規模なクラウド事業者やAI研究機関からの支持を得たことが要因とされている。性能に優れ、消費電力効率の高いEPYCは、データセンターにおけるコスト削減ニーズと合致し、より多くの企業が導入する流れを作り出している。

Intelが依然としてシェアでは圧倒しているものの、このような状況が続くことで、データセンター市場の力関係が変わり始める可能性があると指摘されている。AMDの拡大がIntelに及ぼす影響は大きく、業界の勢力図に新たな変化をもたらす兆しが見られる。

AMDの今後の成長に対する業界の期待と課題

AMDがデスクトップおよびデータセンター市場で大きなシェアを獲得したことにより、同社の今後の成長に対する業界の期待が高まっている。しかしながら、さらなるシェア拡大には課題も存在する。デスクトップ市場においては、ユーザー側の在庫調整や経済環境の影響も受けやすく、Intelも対策を強化しているため、競争は引き続き激化することが予想される。

また、データセンター市場での成長を持続するには、技術革新とともに、各国のエネルギー政策や環境規制に対応する必要がある。EPYCプロセッサのエネルギー効率は強みだが、より多様なニーズに応じた柔軟な製品展開が求められるだろう。

今後、AMDが持続的に革新を続けられるかが、さらなる成長のカギを握るといえる。業界関係者からは、今回の成績が一過性に終わらないように継続的な戦略と実行力が必要だとの声も上がっている。