Intelは、次世代プロセッサ「Panther Lake」と「Nova Lake」から内蔵メモリの搭載を廃止する決定を下した。これにより、Intelは従来の外付けメモリ構成に戻る方針を採用する。この方針転換の背景には、ノートパソコン向け「Lunar Lake」プロセッサにおける内蔵メモリの試みが、期待された成果を生まなかったことがある。

Lunar Lakeは、電力消費を40%削減する内蔵メモリ構造を持ち、AI機能に対応した製品として注目を集めたが、Intelにとってコストが大きな課題となり、経営戦略上の負担が増加した。CEOのパット・ゲルシンガーは、Lunar Lakeが主流製品ではなく、実験的なモデルであったことを示唆しており、これを一度限りの試みとし、今後はシンプルな構成に戻すことを明言した。

また、同社のGPUプロジェクトも消費者向け製品から外され、事業のシンプル化が進む方向性が示されている。

内蔵メモリ戦略からの撤退とその背景

Intelが次世代プロセッサ「Panther Lake」と「Nova Lake」で内蔵メモリの採用を中止する決断に至った背景には、ノートパソコン向けプロセッサ「Lunar Lake」における試験的な取り組みがある。Intelは、Lunar LakeでRAMをプロセッサ内部に組み込み、消費電力を40%削減することでバッテリー寿命を延ばすことを狙った。

しかし、パフォーマンスと経済的負担の観点から、この戦略が優位性を確立するには至らなかったと見られる。IntelのCEOであるパット・ゲルシンガーは、この取り組みが実験的であったと述べ、今後の製品ラインアップでは従来の外部メモリ構成に戻す意向を示した。

この決断は、現在のノートパソコン市場での競争を見据えたものであり、TSMCからのメモリチップ供給への依存が高まっていたことも影響している可能性がある。外部供給に依存することでコスト構造が悪化し、事業の再編が急務となったと考えられる。

Lunar LakeとGPUプロジェクトの失敗が示す今後の方向性

Intelは、Lunar Lakeでの内蔵メモリ採用のほかに、独自のGPUプロジェクトにも取り組んでいたが、いずれも同社の期待を大きく下回る結果に終わった。この背景には、近年のPC市場におけるAI機能の強化や、消費者のニーズが変化したことがある。

特にLunar LakeはAI対応ノートPCの需要増に一時的に対応する形で注目を集めたが、製品コストの負担が大きく、結果的にIntelの経営負担となった。ゲルシンガーCEOは、このプロジェクトが持続可能なビジネスモデルを持たなかったと説明している。

今後は製品ラインのシンプル化を図ることで、コアビジネスであるプロセッサ開発にリソースを集中させる戦略に転換するとしている。Intelの一連の実験的プロジェクトの失敗が、事業効率化の方向性を明確にしたと言えるだろう。

次世代プロセッサの競争環境と今後の課題

Intelの次世代プロセッサ開発における方向転換は、同社が今後の競争環境を見据えた結果といえる。Panther LakeやNova Lakeでは、従来通りの外部メモリ構成を採用することで、開発と製造コストの抑制が図られる見込みである。

特にTSMCなどの外部供給に依存せず、Intelの独自開発リソースを最大限に活用することで、競合他社との差別化を図ろうとする意図が見られる。PC市場では、消費者がAI機能を求める一方で、コストの抑制も求められる。この複雑な状況下で、Intelがどのように技術革新を実現するかが注目される。

今後のプロセッサ開発においては、低コストで高性能な製品が求められることが予想され、Intelが市場の期待に応えられるかが試される局面にある。