Appleは、衛星サービスプロバイダーGlobalStarと提携を強化し、11億ドルのインフラ投資を実施する。また、4億ドル相当の株式取得を行うことで、衛星通信機能のさらなる拡充を図っている。

iOS 18のリリースによって、WiFiやセルラー圏外でもメッセージを送信できる機能が提供されており、Appleはこの技術の将来的な有料化も視野に入れている。これは緊急時に役立つ通信機能としての価値をより強く示すものである。

iPhoneの衛星機能強化の背景

Appleが衛星通信の強化を進める背景には、ユーザーの安全確保がある。iPhone 14から提供されている「緊急SOS」は、山間部や海上での緊急時に大きな助けとなっている。Appleはこの機能を無料で提供しているが、緊急通信に限らず衛星接続を使った他の機能にも注力し始めた。

iOS 18における衛星経由のテキストメッセージ機能もその一環である。これは単なるサービス強化に留まらず、災害時や遭難時の連絡手段としての信頼性を高める施策といえる。GlobalStarとの連携で更なるインフラ拡充を図ることで、Appleは衛星通信の普及を目指していると考えられる。

新たな料金モデルの可能性

Appleは現在、衛星通信機能を無料で提供し続けているが、将来的には有料化の可能性があることを示唆している。2022年の緊急SOS導入時、当初の無料期間は2年間とされ、2024年末までとされていたが、これを2025年まで延長した背景には慎重な判断が見られる。

生命の危険が絡む可能性がある機能のため、Appleは無償提供を続ける可能性も考慮しつつ、「探す」アプリやメッセージ機能といった他の機能のみに課金する方向を検討することが予想される。Apple Oneの一部として提供される可能性も含め、慎重な判断が求められている。

衛星通信サービスの普及への展望

衛星通信サービスは、セルラーやWiFiが届かない場所でも通信可能な手段として注目されている。AppleはGlobalStarとの提携を通じて、衛星接続機能を強化し、さらに多くの地域での利用を視野に入れている。

このインフラ投資によって、ユーザーは自然災害や遠隔地での緊急通信をより安心して行える環境が整備されるだろう。また、GlobalStarの株価が上昇したことも、投資家からの関心を引き出している。Appleの持つ技術と衛星ネットワークの融合は、今後の通信技術の発展にも寄与する可能性が高い。