Appleのティム・クックCEOは、Apple Vision Proが高価格のため一般消費者向けではないことを認めた。同製品は最先端技術を求める一部の層に向けて開発されたが、販売成績は芳しくなく、高い返品率が示唆されている。

Appleは2025年に廉価版モデルを投入する計画を立てているが、コスト削減の努力にもかかわらず、価格は依然として2000ドルを超える見込みだ。

Apple Vision Proのターゲットは「未来の技術を求める層」

Apple Vision Proは、ティム・クックが述べたように、一般大衆向けの製品ではない。高価格帯のため、多くの消費者にとっては手が届きにくいが、「未来の技術を今日体験したい」層をターゲットにしているとされる。クックはインタビューで、現在そのような先進技術を求める顧客が多くないことを認めている。

高価な価格設定がハードルとなり、裕福な層においても同製品の売れ行きは芳しくない。返品率が高いことが示唆される一方で、Appleはこの市場での存在感を確立しようとしている。これにより、消費者はApple Vision Proを購入する際に、技術的な先進性に対する評価とコストのバランスを再考する必要があるだろう。

大規模な研究開発投資も報われず、販売は低迷

AppleはVision Proのために10億ドル以上の研究開発費を投じたが、期待された売上には届いていない。製品の販売低迷は、同社にとって重大な問題であり、ハードウェアとソフトウェアの統合に多大な労力を費やしたにもかかわらず、収益には結びついていない。

開発に費やしたコストの大部分は、4KマイクロOLEDパネルの調達や製造に充てられており、この高額な部品が価格設定を引き上げる要因となっている。Appleが研究開発で培った技術力をどう商業的成功に結びつけるかが、今後の課題である。消費者は高性能を求める一方で、価格の適正化も強く望んでいる状況だ。

2025年に向けた廉価モデルの計画とその変更点

Appleは2025年に向け、より安価なモデルのVision Proをリリースする計画を進めている。この廉価モデルでは、現行モデルと比べて多くの仕様変更が行われる見込みだ。特に、4KマイクロOLEDパネルから1,500PPIのパネルへの切り替えが検討されており、これにより製造コストを削減できる可能性が高い。

さらに、筐体素材の変更やプロセッサのダウングレードも予定されている。アルミニウムとガラスの使用をやめ、プラスチック製にすることでコスト削減を図るほか、MシリーズのプロセッサからAシリーズへの変更も視野に入れている。これらの変更は価格を抑えるための手段であり、より多くの消費者が手に取れる製品を目指す。

それでも2000ドル超、依然高価格帯のヘッドセット

廉価モデルの投入によってコストを抑える方針ではあるが、その価格は依然として2000ドルを超える見通しである。現在の仕様から一部のハードウェアがダウングレードされることで価格の引き下げが図られるものの、それでもなお多くの消費者にとっては高価な製品であり続ける。

市場には同価格帯で他の競合製品が多数存在しており、それらと比較した際の価値をいかにして示すかがAppleの次なる挑戦となる。Apple Vision Proが高価格帯である限り、消費者の選択肢としての魅力をどう高めるかが問われることになる。