Appleの新たなエントリーモデル「iPhone 16e」が登場し、価格を抑えつつもiPhone 16に匹敵するスペックを実現している。搭載されるA18チップセットは、ほぼ同等のCPU性能を発揮し、実際のベンチマークテストでもiPhone 16と大差ない結果を示した。

ディスプレイは6.1インチのSuper Retina XDRを採用し、カラーカバー率は他のモデルを上回る数値を記録。バッテリー駆動時間もiPhone 16を28分上回り、コストパフォーマンスに優れる。一方で、GPU性能やカメラ構成では上位モデルに劣り、特に広角撮影を多用するユーザーには物足りない可能性がある。

iPhone 16eの性能検証 CPUとGPUの実力差はどこにあるのか

iPhone 16eはA18チップを搭載し、iPhone 16とほぼ同等の処理能力を持つ。しかし、GPUコアの数が1つ少なく、グラフィック処理に関してはiPhone 16よりも劣る。Geekbench 6のベンチマークでは、シングルコアおよびマルチコアスコアの差は1%未満で、日常的な動作では両者の違いを感じることは少ない。

しかし、3D Mark Wild Life Extremeのテストでは、iPhone 16eのGPU性能はiPhone 16 Proに比べて約45%低い数値を記録した。これは、A18 Proが6コアGPUを搭載しているのに対し、iPhone 16eのA18は4コアに制限されているためだ。iPhone SE 3と比較すると、iPhone 16eのグラフィック性能は73%向上しており、大幅な進化が見られる。

この結果から、ゲームや高負荷なグラフィック処理を求めるユーザーにはiPhone 16eはやや物足りないかもしれない。しかし、通常のWeb閲覧やSNS、動画視聴では十分なパフォーマンスを発揮し、コストを抑えつつも快適に使用できるバランスの取れた選択肢となる。

iPhone 16eのディスプレイ性能は本当に妥協か

iPhone 16eは、6.1インチのSuper Retina XDRディスプレイを採用し、iPhone 16と同じパネルを搭載している。しかし、最大輝度は724ニットで、iPhone 16の775ニットやiPhone 16 Plusの787ニットと比較すると若干低い数値だ。とはいえ、iPhone SE 3の596ニットと比べれば大幅な向上であり、日常使いにおいて明るさ不足を感じることはほぼない。

特筆すべき点は、カラーカバー率の結果だ。通常、iPhoneのディスプレイはsRGBカバー率112〜114%、DCI-P3カバー率79〜80%程度だが、iPhone 16eはsRGBカバー率127%、DCI-P3カバー率90%という高い数値を記録した。これにより、より鮮やかで正確な色再現が可能となり、写真や動画鑑賞時に恩恵を受ける。

これらのデータから、iPhone 16eのディスプレイはiPhone 16より若干暗めであるものの、色の鮮やかさでは優れているといえる。過去のiPhone SEシリーズと比較すれば大幅な進化を遂げており、価格を考えれば十分なディスプレイ品質を提供している。

iPhone 16eのバッテリー性能と長時間駆動の秘密

iPhone 16eのバッテリー駆動時間は12時間41分で、iPhone 16(12時間13分)を28分上回った。Appleの公式発表では「最大4時間長持ちする」とされていたが、実際のテストではその差はそこまで大きくはない。しかし、iPhone SE 3の7時間39分と比べると大幅な改善が見られる。

この長時間駆動を可能にした要因の一つは、A18チップの電力効率向上だ。プロセス技術の進化により、より低消費電力で動作し、バッテリー消費を抑えている。また、ディスプレイの輝度がiPhone 16より低いため、結果として消費電力が若干抑えられている可能性がある。

一方で、iPhone 16 Pro(14時間01分)やiPhone 16 Plus(16時間30分)、iPhone 16 Pro Max(17時間35分)といった上位モデルには及ばない。特に長時間の動画視聴やゲーム用途では、バッテリー持ちを重視するユーザーにとって物足りないと感じるかもしれない。だが、普段使いにおいては十分なバッテリー性能を備えており、価格とバッテリー寿命のバランスを考えると魅力的な選択肢といえる。

Source:Laptop Mag