マイクロソフトは、Windows 10 バージョン22H2向けの非セキュリティリリースプレビュー更新KB5045594を公開した。この更新には、スタートメニューのアカウントマネージャーの新機能や、複数のバグ修正が含まれている。主な修正点として、USB接続の複合機や仮想スイッチに関する問題が解決された。

スタートメニューに新しいアカウントマネージャーが導入

今回の更新KB5045594により、Windows 10 バージョン22H2に新たなアカウントマネージャー機能が導入された。この機能はスタートメニューに実装され、ユーザーはより簡単にアカウント情報や設定にアクセスできるようになる。アカウント切り替えやサインアウトのオプションも強化され、スタートメニューから直接行えるのが特徴だ。

特に注目すべきは、サインアウトオプションの隣に配置された「…」(省略記号)をクリックすることで、異なるユーザーに切り替えられる点である。これにより、複数のアカウントを利用するユーザーにとって、利便性が大幅に向上した。また、従来スタートメニューから直接利用できなかった「ロック」機能も、電源メニューに追加され、ユーザーの操作性が改善されている。

ただし、この機能は全ユーザーに一斉に提供されるわけではなく、段階的にロールアウトされる。そのため、すぐに利用できるユーザーもいれば、しばらく待つ必要があるユーザーもいる可能性がある。これにより、システムの安定性が確保され、徐々に全体の機能が統合されていく流れとなる。

USB接続の複合機における問題が解決

更新KB5045594では、USBケーブルを使って接続された複合機(MFP)に関連するいくつかの問題が修正された。この中でも特に注目されるのが、特定のネットワークコマンドテキストが意図せずに印刷されてしまう問題の解決である。これにより、印刷に関する混乱や無駄な用紙消費が抑えられるようになった。

さらに、USB接続でのスキャナードライバのインストール失敗も解消された。この問題は、特に複合機を業務用途で使用するユーザーにとって、重大な障害となっていた。今回の修正によって、スムーズなドライバインストールが可能となり、USB接続の複合機を円滑に利用できるようになっている。

これらの修正は、日常業務において複合機を頻繁に使用するユーザーにとって大きな利便性向上をもたらす。従来の更新で発生していたこれらのバグが修正され、USB接続の複合機利用における安定性が向上している。

仮想スイッチでの停止エラーの修正

今回の更新では、仮想スイッチ(vmswitch)に関連する停止エラーが修正された。このエラーは、ロードバランシングとフェイルオーバー(LBFO)を使った仮想マシン(VM)上の2つの仮想スイッチにおいて発生していた。特に、1つの仮想スイッチがシングルルートI/O仮想化(SR-IOV)を使用している場合に、停止エラーが引き起こされていた。

この問題は、仮想環境でのネットワーク管理において重大な障害をもたらしていた。特に、大規模な仮想環境を運用する企業やデータセンターにおいては、仮想スイッチの停止エラーがシステム全体の安定性を損なう可能性があった。今回の修正によって、仮想マシンと仮想ネットワークの連携が安定し、ネットワーク管理者にとって信頼性の高い環境が提供されるようになった。

また、この修正により、仮想ネットワーク上でのデータ通信の途絶や予期せぬ停止を回避できるようになり、仮想環境全体のパフォーマンスが向上している。仮想マシンでのネットワーク障害の発生リスクが減少し、システム管理者にとっても安心して運用できる環境が整えられた。

Azure Virtual Desktopの既知の問題に対応

Azure Virtual Desktop(AVD)における既知の問題も、今回の更新で対応された。特に、ユーザーがAVDにサインインした際に発生する黒い画面が表示され続ける問題に修正が加えられている。この問題は、サインイン後に画面が黒いままになり、ログアウトもできない状態が続くという深刻な不具合であった。

さらに、接続を切断して再接続しても、この黒い画面が解消されないケースが報告されていたが、今回の更新によってこの現象が改善された。イベントログには「イベントID:1000」が表示され、svchost.exe_AppXSvcの障害が原因とされていたが、この部分の修正により、安定したリモートデスクトップ環境が提供されるようになった。

AVDを利用するユーザーにとって、リモート作業の効率が向上し、システムの信頼性も大きく向上している。今回の修正により、遠隔地からのアクセスや作業を行う際の利便性が高まり、企業や個人ユーザーにとっても重要な改善がもたらされた。