モブボイの最新スマートウォッチ、TicWatch Pro 5 Enduroは、前モデルを凌駕する性能を誇る。しかし、同時に一部のユーザーにとっては不満も残る製品である。このレビューでは、TicWatch Pro 5 Enduroの技術仕様から使い勝手、バッテリー寿命に至るまで、詳細に解説する。購買を検討している人にとって、重要なポイントをまとめた。

TicWatch Pro 5 Enduroの技術仕様

モブボイのTicWatch Pro 5 Enduroは、その技術仕様において際立った性能を持つ。プロセッサにはSnapdragon W5 Gen 1が搭載され、2GBのRAMと32GBのストレージを備えている。これにより、アプリの動作やシステム全体のパフォーマンスが非常にスムーズである。ディスプレイは1.43インチのAMOLEDで、解像度は466 x 466ピクセル、ピクセル密度は326 PPIとなっている。このディスプレイは非常に鮮明で、明るさや色彩の表現も優れている。

接続性については、Bluetooth 5.2、GPS、NFC、WiFi 802.11 b/g/nがサポートされている。これにより、幅広いデバイスとの接続が可能であり、モバイル決済や位置情報の取得も容易である。センサー類も充実しており、加速度センサー、ジャイロセンサー、心拍センサー、血中酸素センサー、皮膚温度センサーなど、多岐にわたる計測が可能である。特に、血中酸素センサーと心拍センサーの精度は高く、日常の健康管理に大いに役立つ。

バッテリー容量は628mAhであり、スマートウォッチモードで最大90時間、エッセンシャルモードで55日間の駆動が可能である。このバッテリー寿命は、WearOS搭載のスマートウォッチとしては驚異的であり、日常的な充電の手間を大幅に軽減する。重量は44.7グラムで、軽量であるため長時間の装着でも負担が少ない。価格は€359.99と、高性能ながらも手頃な範囲に収まっている。

デザインと使い勝手の向上

TicWatch Pro 5 Enduroのデザインは、前モデルに比べて微細な改良が施されている。まず、ケースの厚さが0.25ミリメートル薄くなり、11.95ミリメートルとなった。これにより、特に小型から中型の手首に対して快適な装着感を提供する。ケースには新たに矢印型の粒子加工が施され、デザインに深みと高級感を加えている。

ストラップには24ミリメートル幅のブラックフルオロラバーが使用されており、新しい塗装が施されている。これにより耐久性が向上し、日常使用での摩耗や汚れに対する耐性が強化された。ディスプレイ保護には従来のコーニングゴリラガラスに代わり、サファイアガラスが採用されている。この変更により、スクラッチや落下に対する耐性が一層高まっている。

操作性の面では、回転クラウンとサイドボタンがやや大きくなり、操作性が向上している。この変更は、特にフィットネストラッキング中や外出先での迅速な操作を可能にしている。全体として、TicWatch Pro 5 Enduroのデザインと使い勝手は非常にバランスが取れており、ユーザーにとって高い満足度を提供するものとなっている。

バッテリー寿命と性能評価

TicWatch Pro 5 Enduroのバッテリー寿命は、スマートウォッチ市場において突出している。バッテリー容量は628mAhであり、スマートウォッチモードで最大90時間、エッセンシャルモードでは55日間の駆動が可能である。この性能は、日常的な使用環境においても高い持続力を発揮する。

テスト環境下では、血圧と血中酸素の測定を常にオンにし、通知機能やNFCを活用した状態で89.5時間の駆動が確認された。この結果は、WearOS搭載スマートウォッチとしては驚異的であり、日常の充電頻度を大幅に減少させる要因となっている。性能面でも、Snapdragon W5 Gen 1プロセッサの搭載により、高速かつスムーズな操作が可能である。

AMOLEDディスプレイは非常に明るく、カラー表示が鮮明である。常時オンディスプレイも視認性が高く、屋外での使用にも適している。センサー類も非常に正確であり、歩数計や心拍モニター、睡眠トラッキングの精度は高い。これらのデータは、Mobvoi Healthアプリを通じて詳細に確認できる。

性能全体として、TicWatch Pro 5 Enduroは高い評価に値する。特にバッテリー寿命の長さと精度の高いセンサーが際立っている。モバイル決済機能も搭載されており、日常の利便性が向上している。

購入すべきか?

TicWatch Pro 5 Enduroは、現時点でGoogleエコシステム内で最も優れたスマートウォッチの一つである。パフォーマンスとバッテリー寿命は他に類を見ないレベルであり、フィットネスと健康トラッキングの精度も非常に高い。ディスプレイは鮮やかで、機能の充実度も高い。ただし、いくつかの欠点も存在する。

まず、Wear OS 3.5を搭載している点が挙げられる。Wear OS 4が既にリリースされているにもかかわらず、アップデートの予定が不明確であることは、ユーザーにとって懸念材料である。また、LTEやeSIMに対応していない点も、競合製品と比較すると見劣りする部分である。さらに、GPSモジュールの位置測定が遅いことも改善の余地がある。

それでも、TicWatch Pro 5 Enduroの総合的な評価は非常に高い。特に、バッテリー寿命の長さと精度の高いセンサーが魅力的である。既にPro 5を所有しているユーザーにとっては、バッテリー寿命と耐久性の向上以外に大きな変化がないため、アップグレードの必要性は低いかもしれない。しかし、新たにスマートウォッチを検討しているユーザーにとっては、TicWatch Pro 5 Enduroは優れた選択肢となるだろう。