Intelの次世代CPU「Core Ultra 9 285K」が、CPU-ZおよびBlenderのベンチマークで初公開された。
だが、期待されていた性能は発揮されず、サーマルスロットリング(熱によるクロック速度低下)が問題となった。
一方で、マルチコア性能では前世代を上回る結果を示しており、最終的な評価には今後の詳細なテストが必要だ。
新世代CPU、Core Ultra 9 285Kの登場
Intelは最新のCore Ultra 9 285Kを発表し、次世代CPU市場での競争が本格化している。このCPUは、Core Ultra 200Sシリーズのフラッグシップモデルであり、パフォーマンスの向上と新しいアーキテクチャが期待されていた。特に、3nmプロセスを採用した新しい「Compute Tile」により、これまで以上の電力効率とクロック速度を提供することが目指されている。
しかし、初期のテストでは、この新しいCPUがすべての期待に応えたわけではない。CPU-ZおよびBlenderでのベンチマーク結果が公開されたが、特にサーマルスロットリング(熱による性能低下)の影響で、予想よりも性能が抑えられている状況が確認された。これにより、熱管理の重要性が再び浮き彫りになり、冷却システムの選定が重要となる。
このような初期の課題にもかかわらず、Core Ultra 9 285Kは次世代CPUの重要な一歩であり、特にゲーミングやマルチコア処理において進化が期待されている。今後の改善により、さらなる性能向上が実現する可能性がある。
CPU-ZとBlenderでのベンチマーク結果
Core Ultra 9 285Kの性能は、まずCPU-ZとBlenderのベンチマークテストで評価された。CPU-Zでは、シングルコア性能が909ポイントと発表され、前世代モデルのCore i9-14900Kには及ばなかった。この結果は、サーマルスロットリングによるクロック速度の低下が影響していると考えられている。
一方、マルチコア性能においては、Core Ultra 9 285KはCore i9-14900Kを約12%上回る結果を示している。特に、Hyper-Threadingが削除されたにもかかわらず、このパフォーマンス向上はSkymontアーキテクチャによるIPC(命令あたりのクロック)向上によるものとされる。これにより、コア数やスレッド数に頼らない純粋な計算能力の向上が見込まれる。
Blenderでは、Core Ultra 9 285KはAMDのRyzen 9 9950Xには及ばなかったが、Core i9-14900KSよりも約10%高速であることが確認された。この結果は、Intelの新しいアーキテクチャが一定の進化を遂げたことを示している。
熱によるパフォーマンス低下の影響
今回のベンチマークにおいて最大の課題は、サーマルスロットリングによるパフォーマンスの低下であった。テスト環境では、Core Ultra 9 285Kが動作中に100度という高温に達し、これが原因でクロック速度が制限されていることが明らかになった。この現象は、特にCPUのピーク性能が求められる場面で顕著に影響する。
また、メモリコントローラとCPUコアを接続する「リングバス」のクロック速度が3.8 GHzと低下しており、これもパフォーマンスに影響を与えている。Raptor Lakeに比べて700 MHzも低く、これがゲーミング性能の低下につながったと考えられている。
Intelがこの問題にどのように対処するかは、最終的な製品リリース時に注目されるポイントである。現時点では、冷却システムの強化や最適化が必要不可欠であり、熱管理が不十分な状態では本来の性能を発揮することが難しい状況にある。
AMD Ryzenとの競争、Intelの課題
Core Ultra 9 285Kは、特にマルチコア処理で前世代を上回るパフォーマンスを示したが、依然としてAMD Ryzenとの競争においては課題が残っている。特に、Ryzen 9 9950Xには大差をつけられたことがベンチマーク結果から明らかになっている。この差を埋めるには、Intelはさらなる技術革新とアーキテクチャの最適化が求められる。
一方で、Arrow Lake世代では、パフォーマンスではなく電力効率に焦点を当てた進化が予測されている。これにより、消費電力を抑えつつも性能を維持するという、新しい市場ニーズに対応することが可能となる。しかし、そのためには10〜15%の世代ごとの性能向上では不十分であり、さらに革新的な技術が必要とされる。
最終的な製品が市場に登場するまでにはもう少し時間があるが、現在のベンチマーク結果が改善されない限り、AMDに対抗するのは困難な状況である。Intelは、性能と効率のバランスをどう取るかが今後の重要な課題となる。