Motorolaは、デバイスに対するソフトウェアサポートの拡充を発表した。しかし、その実現に対する信頼は薄く、過去の実績からユーザーは懐疑的だ。Moto G75に対する5世代のOSアップデートが約束されているが、これまでの対応の遅さを考慮すれば、この約束が果たされるかは疑問が残る。
過去の失敗から学ばないモトローラ
Motorolaはこれまで、ユーザーに対してソフトウェアアップデートの約束を守れないことが多々あった。例えば、Moto G Stylus(2024)などのデバイスでは、最新OSへのアップデートが約束されていたにもかかわらず、その実行が遅れ、結果としてユーザーは失望を味わった。最新の発表では、G75シリーズに対して5世代のOSアップデートを提供するというが、これまでの対応を見る限り、楽観視するのは難しい。
以前も、Razr+(2023)やThinkPhoneなどのデバイスに対して、予定通りにアップデートが提供されたケースがあったが、それは例外であり、大多数のデバイスは十分なサポートを受けていない。実際、Razr+(2024)に至っては、発売から数ヶ月経過しても、依然として2023年6月のセキュリティパッチが適用されたままである。
過去の失敗から学んでいるようには見えず、これまでのパターンが続く限り、ユーザーの信頼を取り戻すのは難しいだろう。Motorolaが本気でユーザーに信頼されるためには、まずは既存のデバイスへの迅速かつ継続的なアップデート提供を実現する必要がある。
ソフトウェアアップデートの遅延が続く
Motorolaは、長らくソフトウェアアップデートの遅延という問題に悩まされている。特に、フラッグシップモデルであるRazrシリーズでも、アップデートが遅れることは珍しくない。Razr+(2023)では、Android 14のリリースまでに約8ヶ月もの時間がかかった。さらに、その間、ユーザーが待ち望んでいた常時表示機能のような重要な機能の追加も遅れている。
アップデートの遅延がこれほど顕著である理由は、Motorolaがソフトウェアに大幅な変更を加えることにある。新しい「Hello UI」は、その代表的な例だ。以前の「MyUX」に比べ、より多くのカスタマイズが可能な分、アップデートにかかる時間が増えている。このような遅延は、ユーザー体験に悪影響を与え、他のメーカーと比較して、Motorolaに対する信頼が著しく低下する結果を招いている。
このような状況が続けば、アップデートの遅れに対する不満はさらに高まり、結果として、Motorolaが提供する製品自体の価値が疑問視されることになるだろう。
他社と比べたMotoの対応力の低さ
Motorolaのソフトウェアサポートを他社と比較すると、その差は明白である。たとえば、Samsungは、低価格モデルでさえも4世代のOSアップデートを提供しており、定期的なセキュリティアップデートも期待できる。対して、Motorolaのデバイスは、ハイエンドモデルであってもアップデートの頻度が不安定で、いつ新しいOSやパッチが提供されるかが不透明なことが多い。
さらに、アップデートの提供期間にも大きな差がある。SamsungやGoogleは、購入後何年にもわたってサポートを続け、ユーザーに安心感を与える。一方、Motorolaは、場合によっては1回のOSアップデートしか提供しないこともあり、高価格帯のデバイスでさえ、長期的なサポートが期待できない。このような対応の違いは、ユーザーがどのメーカーを選ぶかに大きく影響を与える。
今後、Motorolaが他社と競争するためには、まずはアップデートの頻度とスピードを改善し、信頼を取り戻すことが必要である。
拡張サポートがもたらす未来は?
Motorolaの拡張サポート発表は、一見すると前向きなニュースのように思える。特に、5世代にわたるOSアップデートという約束は、多くのユーザーにとって魅力的なものだ。しかし、その実現性を疑問視する声は多い。これまでの不安定なアップデート提供スケジュールを考慮すれば、この新しい約束もまた、履行されるかどうかが不確かである。
一方で、アップデートが遅れることによって、最新の機能やセキュリティ対策が十分に適用されないリスクもある。たとえば、AIを活用した新機能を売りにしているが、アップデートが滞ればその真価を発揮することは難しい。また、これからのスマートフォン市場では、ソフトウェアサポートが競争力の鍵となるだろう。アップデートを確実に提供できないメーカーは、他社に遅れをとることになる。
Motorolaが今後も市場で生き残るためには、約束を守り、信頼を築くことが不可欠である。