2024年第3四半期のPC市場は、全体的に2.4%の出荷減少を記録した。最大の敗者はAppleであり、前年同期比24.2%減という厳しい結果となった。これに対し、AsusとLenovoはそれぞれシェアを拡大し、特にAsusは10%の成長を遂げた。
PC市場全体での出荷台数減少
2024年第3四半期、世界のPC市場は前年同期と比較して2.4%の出荷台数減少を記録した。具体的には、68.9百万台のPCが販売されたが、これはデスクトップ、ノートブック、ワークステーションを含む数字であり、タブレットは含まれていない。こうした減少の背景には、世界的な経済不安が影響しており、特に消費者の購買意欲が高価格帯の製品に向かいにくい状況が続いている。
AIを搭載したPCの注目度は依然として高いものの、実際の売上には反映されていない。AI技術が導入されることで市場に新しい波が来ると期待されているが、国際データコーポレーション(IDC)のアナリストは、AI搭載PCが本格的に市場を席巻するのは2026年以降であると予測している。結果として、PC市場は現時点ではまだ大きな転換期を迎えていない。
それでも、近い将来にはAIや次世代のチップセットを搭載した高性能PCが市場を活気づけることが期待されている。特にQualcomm Snapdragon X EliteやIntelのLunar Lake、AMDのRyzenといった次世代チップセットが導入されることで、再び出荷台数の回復が見込まれている。
Appleの大幅な販売減少の要因
Appleは2024年第3四半期において、販売台数の大幅な減少に直面した。同社は5.3百万台のMacを販売したが、これは前年同期と比べて24.2%減少している。この売上減少の主な要因としては、消費者がより価格帯の低いPCを選好していることが挙げられる。特に経済情勢が厳しい中、高価格帯のMac製品は購入を見送られる傾向が強まっている。
Appleは2023年にM3チップを搭載したMacBook Proを発売したが、売上の改善にはつながらなかった。さらに、M4チップを搭載した新モデルが2024年10月にリリースされる予定であるが、このタイミングでの大幅な販売回復は期待されていない。IDCの分析によれば、消費者が高性能なPCよりもコストパフォーマンスの高いモデルを重視しているため、Appleの市場シェアは今後も厳しい状況が続く可能性がある。
Appleにとっては、高価格帯のプレミアム製品だけではなく、より手頃な価格帯の製品ラインを強化することが、今後の市場での競争力を維持するために必要な戦略となるだろう。
LenovoとAsusが市場シェアを拡大
2024年第3四半期において、LenovoとAsusはPC市場でのシェアを拡大した。特にLenovoは16.5百万台を販売し、24.0%の市場シェアを獲得して再び世界最大のPCメーカーとしての地位を確固たるものにしている。Lenovoの堅調な販売は、幅広い価格帯の製品ラインを展開し、多様な消費者ニーズに対応できたことが要因とされる。
一方、Asusは10%の成長を記録し、Appleを押しのけて市場シェアを拡大した。Asusは、主にゲーミングPCや高性能ノートブックに注力しており、特に若年層を中心に支持を集めている。同社は5.5百万台のPCを販売し、市場シェアは7.9%に達した。競争が激化する中で、こうしたパフォーマンスはAsusの競争力の高さを示している。
特にゲーミング市場における需要が堅調であり、Asusの成長を後押ししている。また、エントリーレベルからハイエンドまで幅広い製品を提供することで、異なるニーズに対応する戦略が功を奏しているといえる。
AI搭載PCの今後の見通し
AIを搭載したPCの市場は、現時点ではまだ成長の兆しを見せていないが、今後数年で大きな進展が期待されている。IDCの分析によると、AI技術を活用したPCは2026年以降に本格的に普及し始める見通しである。現在のところ、消費者の関心はAI搭載PCの将来的な性能向上に向けられているが、その波が大衆市場に届くにはもう少し時間がかかる。
AI搭載PCが普及すれば、企業やクリエイター向けの高性能モデルが一層注目を浴びるだろう。特にAIを活用した自動化機能や学習能力が進化することで、仕事や創作活動の効率が飛躍的に向上する可能性がある。これにより、ビジネスやエンターテインメント分野におけるPC市場のさらなる成長が期待される。
さらに、AppleやLenovo、HPなどの大手メーカーは、AIを活用した次世代のPCを開発中であり、今後の市場でのシェア争いが激化することが予想される。AI搭載PCの登場は、市場に大きな革新をもたらすだろう。