「タブレットを充電しながら使うとバッテリーが劣化する」と聞いて、不安になったことはありませんか。
動画視聴やオンライン会議、原神などの高負荷ゲームを長時間プレイしていると、どうしても充電しっぱなしで使いたくなりますよね。

2026年現在、タブレットはM4チップやSnapdragon 8 Eliteなどを搭載し、4K動画編集や本格的なゲーミングもこなす“ほぼPC”の存在へ進化しています。その一方で、発熱やバッテリー寿命への影響、安全性への懸念もこれまで以上に注目されています。

実は最近では「バイパス給電(パススルー充電)」という新技術の普及により、従来の常識が大きく変わりつつあります。正しい設定と機器を選べば、むしろバッテリーを守りながら高性能を引き出せる時代になっているのです。

本記事では、リチウムイオン電池の劣化メカニズムから、iPadやGalaxy Tabの最新仕様、発熱とスロットリングの実態、さらには日本国内での事故・リコール事例までをわかりやすく整理します。読み終えた頃には、「充電しながら使うのはアリかナシか」を自信を持って判断できるようになります。

なぜ「充電しながら使用」は危険と言われてきたのか

「充電しながら使うとバッテリーが傷む」とよく言われてきました。これは単なる噂ではなく、リチウムイオン電池の性質に基づいた懸念から生まれた考え方です。

特に問題視されてきたのは“熱”の増加です。充電中は電気がバッテリーに流れ込み、同時に動画視聴やゲームで電気が消費されます。この“流入と流出が同時に起きる状態”が、内部の化学反応を不安定にしやすいとされてきました。

リチウムイオン電池の内部では、充電時にSEI被膜と呼ばれる保護膜が関与しています。専門的な研究によれば、45℃以上の高温環境ではこの被膜の劣化が加速し、25℃環境と比べて容量劣化のスピードが2倍以上になるケースも確認されています。

状態 内部で起きること 影響
通常使用(25℃前後) 安定した化学反応 劣化は緩やか
高温(45℃以上) SEI被膜の分解と再形成が活発化 容量低下が加速
充電+高負荷使用 発熱が重なる 劣化リスク増大

さらに、満充電に近い状態で強い電流が流れ続けると、リチウムが金属として析出する「リチウムプレーティング」という現象が起こる可能性も指摘されています。最悪の場合、内部短絡のリスクにつながるため、長年タブー視されてきました。

もうひとつ重要なのが、温度と劣化速度の関係です。化学反応の世界ではアーレニウスの式という考え方があり、温度が10℃上がると劣化速度は約2倍になるという経験則があります。つまり、ほんの少しの温度上昇でも寿命に大きな差が出るのです。

実際、消費者庁やNITEも、充電中のスマートフォンやタブレットの発熱による低温やけどに注意喚起を行っています。特に布団の中や身体に密着した状態では放熱が妨げられ、局所的に温度が上がりやすくなります。

このように「充電しながら使用は危険」と言われてきた背景には、単なるバッテリー寿命の問題だけでなく、発熱による性能低下や安全リスクまで含まれていました。かつてのモバイル機器では、充電と高負荷動作が同時に起こることで内部温度が急上昇しやすく、それが“常識”として広まったのです。

つまり危険視されてきた本質は、充電そのものではなく充電と発熱が重なる構造にありました。ここを理解することが、現在の最新技術を正しく評価する第一歩になります。

リチウムイオン電池の劣化は“温度”で決まるという科学的根拠

リチウムイオン電池の劣化は“温度”で決まるという科学的根拠 のイメージ

2026年、タブレットは「見るだけの端末」から「作る・戦う・稼ぐための端末」へと大きく進化しています。AppleのM4チップやSnapdragon 8 Elite、Dimensity 9300+といったデスクトップ級SoCの搭載が進み、4K動画編集や3Dモデリング、さらにはコンソール品質のゲームまで日常的に動かせる時代になりました。

一方で、その高性能化が新たな課題も生んでいます。**長時間の高負荷利用が当たり前になり、充電しながら使う「Play and Charge」が常態化**したことです。オンライン会議を数時間つなぎっぱなしにしたり、原神やWarzone Mobileを高設定でプレイしたりする使い方は、もはや特別ではありません。

従来は「充電しながらの使用はバッテリーに悪い」と言われてきました。リチウムイオン電池は高温に弱く、45℃を超える環境では劣化速度が常温の2倍以上に加速するという研究報告もあります。温度が10℃上がると反応速度が約2倍になるというアーレニウスの法則が、バッテリー劣化にも当てはまるとされています。

利用シーン 2020年頃 2026年
主な用途 動画視聴・SNS 動画編集・3D制作・高負荷ゲーム
連続使用時間 短時間中心 数時間の高負荷が一般化
充電中の扱い なるべく避ける 前提として設計・最適化

そこで普及が進んでいるのが**バイパス給電(パススルー充電)**です。これは外部電源からの電力をバッテリーを経由せず、直接システム側に供給する仕組みです。GoogleのAndroid 16では80%充電制限と連動する形で標準化が進み、OnePlusは全アプリ対応のシステムワイド実装を展開しています。

AppleもiPadOS 19において、ユーザーに明示せず最適化制御を行う設計思想を採用しています。Appleサポート情報やコミュニティ検証によれば、80%上限設定時にはバッテリーへの流入電流が止まり、実質的に外部電源駆動へ移行するケースが確認されています。

ただし誤解してはいけないのは、**バイパス給電=発熱ゼロではない**という点です。バッテリー由来の熱は抑えられても、SoC自体の発熱は依然として大きな課題です。特に最高画質・高フレームレートのゲームでは、20分前後で40〜45℃に達するケースも報告されています。

つまり2026年の常識は、「充電しながら使うな」ではなく、**「正しい技術と設定を使って、賢く充電しながら使う」**へと変わりました。OSの充電上限制御を有効にし、対応充電器を使い、放熱を妨げない環境で使うことが前提になります。

タブレットは今やノートPC級の性能を持つモバイルワークステーションです。電源管理の進化を理解することが、パフォーマンスと寿命の両立を実現するカギになります。