Windows InsiderプログラムのCanaryチャネル向けに、Windows 11の新たなプレビュー版「ビルド27808」が配信された。今回のアップデートでは、タスクマネージャーのCPU使用率の計算方法が変更され、業界標準やサードパーティツールとの整合性が向上。新たに「CPUユーティリティ」列も追加され、従来の計算方法との比較が容易になった。
さらに、前ビルドで発生していたRobloxなどの人気ゲームの起動時クラッシュ、特定のアプリでの印刷時の不具合、タスクバー検索の不具合などが修正された。グラフィック設定やカラープロファイル関連のバグも改善され、スリープ復帰後の表示異常も解消されている。
一方で、新たな既知の不具合も確認されており、一部の環境ではWindows HelloのPINや生体認証が使用不可になる可能性がある。特にCopilot+ PCを使用するユーザーは、PINの再設定が必要になる場合があるため、慎重に対応すべきだ。
タスクマネージャーのCPU監視が進化 業界標準との整合性を強化

Windows 11の最新プレビュー版「ビルド27808」では、タスクマネージャーのCPU監視機能が改良された。従来のCPU使用率計算方法が見直され、「プロセス」「パフォーマンス」「ユーザー」ページでの指標が業界標準と一致するようになった。これにより、サードパーティツールや開発者向けの計測ツールと比較した際の差異が縮小し、より正確なパフォーマンス分析が可能になる。
加えて、新しい「CPUユーティリティ」列が「詳細」タブに追加された。これは、従来のタスクマネージャーで使用されていたCPU負荷の計算方式を保持するもので、設定変更により確認できる。デフォルトでは非表示のため、過去の表示形式に慣れたユーザーはカスタマイズが必要だ。
この改良により、特にリソース管理に敏感なユーザーにとって、タスクマネージャーがより実用的なツールへと進化したといえる。ただし、新たな計算方式への適応が必要になるため、従来の数値との違いに注意する必要がある。長年の使い方に慣れたユーザーほど、初期の違和感を覚えるかもしれないが、最終的にはより正確な負荷管理ができるようになるだろう。
ゲームや印刷時のクラッシュ問題を修正 安定性が向上
今回のビルド27808では、ビルド27802で発生していた複数のクラッシュ問題が修正された。特に影響が大きかったのが、Robloxなどの人気ゲームを起動した際に発生していたバグチェック(グリーンスクリーン)問題だ。この問題は、一部の環境でゲームの起動プロセスに異常が発生し、OSごとクラッシュするという深刻な不具合であった。
また、特定のアプリで印刷を実行するとクラッシュする問題も修正された。これにより、ビジネス用途や家庭での印刷作業が円滑に行えるようになった。さらに、タスクバーからの検索実行時に検索ウィンドウが空白になる不具合も解消されている。この問題は、バックグラウンドプロセスのクラッシュが原因で、一部の環境では検索機能自体が使えない状況になっていた。
これらの修正により、システムの安定性は大きく向上したといえる。特に、ゲームの起動に関する問題は、エンターテインメント用途でWindows 11を活用するユーザーにとって非常に重要なポイントだった。今後も、こうしたクラッシュ系の問題を早期に発見・修正できるかが、プレビュー版の評価を左右する要素となるだろう。
Copilot+ PCでの認証トラブルに要注意
Windows 11の最新Canaryビルドでは、Copilot+ PCを使用している環境でWindows HelloのPINや生体認証が利用できなくなる可能性があることが報告されている。
具体的には、DevチャネルやRelease Previewチャネル、市販版のWindows 11からCanaryチャネルへ切り替えた際に発生する現象で、「PINが利用できません」というエラーメッセージやエラーコード「0xd0000225」が表示される場合がある。
この問題に直面した場合、「PINの設定」オプションから再設定を試みることで解決できる可能性がある。しかし、根本的な原因が明らかになっていないため、問題が完全に解消されるとは限らない。また、Windows Helloの生体認証を普段使用している場合、認証方法が一時的に制限されることでセキュリティや利便性の面で影響を受けることになる。
このような認証系のトラブルは、OSのプレビュー版を利用する上で避けられないリスクのひとつだが、特にCopilot+ PCのような最新ハードウェアでは問題の影響がより顕著に表れる可能性がある。今後のビルドでの修正が期待されるが、現在の段階ではアップデート前に事前に回避策を確認しておくことが重要だろう。
Source:Neowin