Broadcomは仮想化ソフトウェア「VMware Workstation Pro」の新バージョン17.6.3をリリースした。このアップデートでは、Windows 11ホストで発生していたフリーズや仮想マシンの起動時クラッシュの問題が修正され、安定性が向上している。

さらに、セキュリティ脆弱性CVE-2025-22224およびCVE-2025-22225の2件も修正され、システムの安全性が強化された。加えて、ライセンスキー不要の完全無料化が実施され、商業・教育・個人用途を問わず誰でも利用可能になった。

一方で、特定のハードウェア構成におけるマルチモニター機能の不具合が報告されており、現時点での回避策はない。仮想化環境のユーザーにとって重要なアップデートとなるため、影響を受ける場合は速やかな導入が推奨される。

VMware Workstation Pro 17.6.3の主な修正点と改善内容

VMware Workstation Pro 17.6.3では、Windows 11環境で発生していた重大な不具合が修正された。特に、仮想マシンを使用中にホストOSがフリーズする問題や、ソフトウェアの起動時に発生するクラッシュの不具合が解消されている。これにより、仮想化環境の安定性が向上し、作業の継続性が確保しやすくなった。

また、セキュリティ面でも大きな改善が加えられている。新たに発見されたCVE-2025-22224およびCVE-2025-22225という2つの脆弱性に対応し、悪意のあるコードによるメモリの範囲外書き込みを防ぐためのパッチが適用された。これにより、攻撃者によるシステム侵害のリスクが低減されている。

さらに、CentOS 9 Stream環境で発生していたインストール時のコンパイルエラーも修正された。このバグの影響を受けていたユーザーにとって、今回のアップデートは必須のものとなる。加えて、顧客からのフィードバックを反映した細かなバグ修正も多数施されており、全体的な動作の安定性が向上している。

VMware Workstation Proの無料化がもたらす影響

VMware Workstation Proは、従来は有料ソフトウェアとして提供されていたが、今回のバージョンからライセンスキー不要で利用可能になった。これにより、個人はもちろんのこと、商業利用や教育機関においても無料で導入できるようになった。これまでコスト面で導入を見送っていたユーザーにとって、大きな変化となる。

無料化によって、競合の仮想化ソフトウェアとの比較がより注目されることになる。特に、VirtualBoxやHyper-Vといった無料の仮想化ツールと比較し、VMware Workstation Proの強みである高いパフォーマンスや安定性が改めて評価される可能性がある。一方で、無料化に伴い、一部の高度な機能が制限される可能性もあるため、今後の開発方針にも注目が集まる。

さらに、サポート体制にも変化が生じる可能性がある。従来の有料版では、商用ライセンスを持つユーザー向けのサポートが提供されていたが、無料化によってサポート体制がどのように維持されるかが課題となる。今後、フォーラムやコミュニティベースのサポートに重点が置かれることも考えられるため、ユーザー同士の情報共有がより重要になるだろう。

マルチモニター環境の不具合と今後の課題

今回のアップデートでは多くの不具合が修正されたが、一部の環境では依然として問題が残されている。その一つが、特定のハードウェア構成におけるマルチモニター機能の不具合だ。ディスプレイの設定が意図せずシングルスクリーンに戻る、モニターの切り替えが正常に行えないといった現象が報告されている。

この問題に対する回避策は現時点では用意されていない。マルチモニター環境を頻繁に利用するユーザーにとっては影響が大きく、今後の追加アップデートでの修正が期待される。ただし、ハードウェアとの相性が影響している可能性もあり、全ての環境で一律に修正できるかは不透明な部分もある。

今回のバージョンで安定性やセキュリティが強化された一方で、特定の機能に関する課題が残っていることは事実だ。特に、仮想化環境を業務で利用しているユーザーにとって、安定した環境の維持は不可欠であり、今後のアップデートの動向を注視する必要があるだろう。

Source:Neowin