iOS 18.4のアップデートにより、CarPlayのEVルーティング機能が改善される見込みだ。これまでApple MapsのEVルーティングは特定の車種に限定され、フォード・マスタングMach-Eやポルシェ・タイカンなど一部のEVのみが対象となっていた。しかし、TeslaのNACSステーションを活用するためのアダプターが提供されたにもかかわらず、Apple Mapsは依然としてCCS規格の充電ステーションしか案内しないという制約があった。
今回のiOS 18.4では、この問題が解消される兆しがある。ベータ版の解析から、Apple MapsがTeslaのNACSステーションを認識し、対応車両向けにルートを案内できるようになる可能性が示唆されている。ドライバーには「このルートではTesla NACSアダプターが必要です」といったメッセージが表示され、利便性が向上する見通しだ。
Apple MapsのEVルーティングが抱えていた課題とは

Apple MapsのEVルーティングは、EVドライバーが充電を考慮したルートをスムーズに計画できる便利な機能だ。しかし、現状では対応する車種が限られており、フォード・マスタングMach-E、フォード・F-150ライトニング、ポルシェ・タイカンの3車種にしか適用されていなかった。この制約のため、他のEVユーザーはApple Mapsのルーティング機能を十分に活用できない状況が続いていた。
さらに問題となっていたのが、フォード車両に対するTeslaスーパーチャージャーの利用制限だ。2023年からフォードはMach-EとF-150ライトニングのオーナー向けにTeslaのスーパーチャージャーを利用できるNACSアダプターを提供し始めた。しかし、Apple MapsのEVルーティングはこの変更に対応せず、依然としてCCS(コンバインド・チャージング・システム)規格の充電ステーションのみを案内していた。そのため、Mach-EやF-150ライトニングのオーナーが実際にはTeslaのスーパーチャージャーで充電できるにもかかわらず、Apple Mapsのナビゲーション上ではこの選択肢が考慮されなかった。
この制約は、EVドライバーの利便性を著しく損なう要因となっていた。特に長距離移動時には、Apple Mapsの指示に従うことで無駄な充電待機時間が発生する可能性があり、Teslaのスーパーチャージャーを有効活用できないという問題があった。iOS 18.4では、この不便な状況が改善される可能性が高まっている。
iOS 18.4でEVルーティングはどう変わるのか
最新のiOS 18.4のベータ版では、Apple MapsがTeslaのNACSスーパーチャージャーを認識し、フォード車両のEVルーティングに組み込める可能性が示されている。内部コードの解析から、Apple Mapsは「Tesla NACSアダプターが必要です」「このルートでは充電アダプターが必要です」といったメッセージを表示する仕様に変更されることが判明した。これにより、ドライバーはApple Mapsを通じてTeslaのスーパーチャージャーを利用するための情報を取得しやすくなると考えられる。
ただし、この機能はまだ正式に有効化されていない。現在のベータ版では、Teslaのスーパーチャージャーのルート案内機能がオンになっていない状態であり、今後のアップデートで有効化される見込みだ。また、Apple Mapsがドライバーに対し「アダプターを持っているかどうか」の確認方法を提供する可能性もある。これにより、アダプターの有無をApple Mapsに伝えたうえで、適切なルート案内が行われる仕様になると予測される。
今回の変更が正式に適用されれば、Teslaの充電インフラを活用できるEVドライバーが大幅に増加する。これにより、EVルーティングの利便性が向上し、充電スポットの選択肢が広がることが期待される。特に、高速道路沿いのスーパーチャージャーを利用できるようになることで、長距離移動時の充電計画がより柔軟になる可能性がある。
Apple MapsのEVルーティングは今後どこまで進化するのか
iOS 18.4でApple MapsのEVルーティング機能が改善されることは確実だが、このアップデートが全てのEVユーザーに恩恵をもたらすわけではない。現在、Apple MapsのEVルーティングは対応車種が限られており、依然としてすべてのEVが対象となるわけではない。この点が今後の課題となるだろう。
また、Apple Mapsが今後どこまで多様な充電ネットワークに対応するのかも注目されるポイントだ。現在、Teslaのスーパーチャージャー以外にも、EVgoやElectrify Americaなどの充電ネットワークが北米で拡大している。Apple Mapsがこれらの充電プロバイダーとも連携し、より包括的なEVルーティングを提供するようになれば、さらに利便性が向上する可能性がある。
さらに、将来的にはApple MapsがEVドライバーに対し、リアルタイムで充電ステーションの空き状況や充電速度を考慮したルートを案内する機能を強化する可能性もある。EVの普及が進む中で、充電インフラの利用効率を最大化することは、Apple Mapsにとっても重要な課題となるだろう。iOS 18.4での改善を皮切りに、今後のアップデートにも期待が高まる。
Source:9to5Mac