スマートウォッチ市場において、血圧測定機能を正確に搭載したモデルはまだ少ない。しかし、Huaweiの新型スマートウォッチ「Watch D2」は、その状況を大きく変える可能性がある。手首装着型の血圧測定装置を備えたこのデバイスは、中国の国家医薬品監督管理局とEUの医療機器規制の認証を取得し、信頼性の面でも大きな強みを持つ。

このWatch D2は24時間の血圧モニタリングが可能で、病院での一時的な測定よりも詳細なデータを提供できる。サイズも従来の血圧計と比較して大幅にコンパクトで、持ち運びのしやすさも魅力だ。一方、SamsungやAppleのスマートウォッチにはまだ独立した血圧測定機能はなく、Huaweiはこの分野で先行していると言える。

市場予測によれば、今後血圧測定機能付きのウェアラブルデバイスは急成長する見込みであり、Appleも将来的に同機能を搭載する可能性がある。競争が激化する中で、Huaweiが築いた先行優位性がどこまで持続するのか、今後の動向に注目が集まる。

スマートウォッチで血圧測定が可能に Huawei Watch D2の革新性

HuaweiのWatch D2は、これまでのスマートウォッチとは一線を画す存在だ。このデバイスは、手首に装着するだけで血圧を測定できる機能を備えており、既存の血圧計とは異なり、持ち運びやすさと利便性を両立している。特に、中国の国家医薬品監督管理局(NMPA)とEUの医療機器規制(MDR)の認証を取得している点が重要だ。

これは、単なるフィットネストラッカーではなく、医療グレードの血圧測定が可能なデバイスであることを示している。従来、スマートウォッチで血圧を測るにはカフ型の血圧計と併用する必要があった。しかし、Watch D2はそれ自体で測定が可能で、日常的な血圧管理がより手軽になる。

さらに、24時間の継続的なモニタリングが可能であり、血圧の変動パターンを把握しやすくなっている。特に、高血圧や心血管疾患のリスクを抱える人々にとって、こうしたデータを手軽に得られることは大きな利点だ。

一方で、このデバイスは現在、米国市場では販売されていない。米国食品医薬品局(FDA)の承認がないためだ。この点が今後のグローバル展開にどのような影響を与えるのかも注目される。現時点では欧州や中国市場が中心だが、今後の動向次第では他の市場への展開も考えられる。

競合との比較 AppleやSamsungはどこまで追随できるか

Huawei Watch D2が市場に登場したことで、他の主要メーカーも血圧測定機能の強化を迫られる可能性がある。例えば、SamsungのGalaxy Watch 7には血圧測定機能が搭載されているが、これはカフ型の血圧計を使って定期的に校正しなければならず、完全に単独で動作するわけではない。また、FDAの承認を受けていないため、医療機器としての位置付けには至っていない。

一方で、Apple Watchには現時点で血圧測定機能は搭載されていない。しかし、BloombergのMark Gurman氏によると、AppleはApple Watch Ultra 3で血圧測定機能を追加する可能性があると報じられている。ただし、これまでにも同機能の導入は延期されており、実際に搭載される時期は不透明だ。

Appleはこれまで健康管理機能の強化に注力しており、心電図(ECG)や血中酸素濃度測定機能をいち早く取り入れてきたため、血圧測定も将来的には実装される可能性が高い。

HuaweiがWatch D2で一歩先を行く形となったが、AppleやSamsungがこれに続くのか、それとも異なるアプローチを取るのかが注目される。スマートウォッチの健康管理機能は進化を続けており、今後数年で市場全体が大きく変化する可能性がある。

血圧測定機能付きスマートウォッチの未来 市場は拡大するのか

血圧測定機能を持つウェアラブルデバイスの市場は、今後大きく成長すると予測されている。Fortune Business Insightsによると、2025年から2032年の間に、この市場は年平均成長率9.2%で拡大すると見込まれている。

特に、高血圧や心房細動といった心血管疾患の管理が重要視される中で、こうしたデバイスの需要が高まっている。スマートウォッチでの血圧測定が一般化すれば、従来の血圧計を使わずとも日常的に血圧管理ができるようになる。

これにより、高血圧の早期発見や、血圧の急激な変動をリアルタイムで把握することが可能になり、健康管理のあり方が変わる可能性がある。ただし、測定精度や医療機器としての認証の問題があるため、すべてのデバイスが医療レベルで信頼できるわけではない点には注意が必要だ。

Appleが今後のモデルで血圧測定機能を搭載すれば、市場の拡大はさらに加速する可能性がある。Appleのブランド力とエコシステムの強みを考えれば、多くのユーザーがこの機能を利用することになるだろう。その結果、スマートウォッチの健康管理機能が一般化し、血圧測定の在り方自体が変わる時代が訪れるかもしれない。

Source:ZDNET