サムスンが2025年7月に、新型のデュアルフォールド（トリプルフォールド）スマートフォンを発表する見込みだ。同社は同時に「Galaxy Z Flip 7」および「Galaxy Z Fold 7」も発表する計画で、折りたたみ市場での競争を加速させる。
このデバイスは「Flex G」プロトタイプに基づくとされ、2回内側に折りたたむ独自設計を採用。耐久性の向上と堅牢な構造が特徴となる。サムスンは2025年4月から部品調達を開始し、約20万台の限定生産を予定。ファーウェイやアップルとの競争が激化する中、新たなユーザー層の獲得を狙う。
サムスンのデュアルフォールドが採用する「Flex G」構造とは
サムスンが開発中のデュアルフォールドスマートフォンは、2回内側に折りたたむ「Flex G」構造を採用する見込みだ。このデザインは、ヒンジ部分の耐久性を確保しながら、大画面化とコンパクト化を両立させることを目的としている。ファーウェイの「Mate XT Ultimate」は外側に折れる構造だが、サムスンの方式はディスプレイを内側に保護するため、傷や摩耗のリスクを軽減できるというメリットがある。
また、これまでのGalaxy Z Foldシリーズは、中央に1本の折り目があったが、Flex Gでは2カ所に折り目が生じる。これにより、広げた際のフラットな表示性能が向上する可能性がある。ただし、折り目の視認性やタッチ操作の快適さについては、実際の製品が発表されるまで未知数だ。
耐久性の観点では、サムスンはヒンジ部分の強化を進めており、Galaxy Z Foldシリーズと同等、またはそれ以上の耐用回数を実現することが求められる。さらに、折りたたみ機構の構造上、バッテリー配置や冷却性能への影響も考慮される必要があり、これらが実際の使用感にどう影響するかが注目される。
デュアルフォールドのサイズと使い勝手 従来モデルと何が違うのか
今回のデュアルフォールドスマートフォンは、6.49インチから9.96インチの範囲でスクリーンサイズが変化する可能性があるとされる。これは一般的なスマートフォンとタブレットの中間サイズに相当し、用途の幅が大きく広がる設計となる。一方で、折りたたみ時の厚みや重量がどの程度抑えられるのかが、ユーザーにとって重要なポイントになる。
Galaxy Z Foldシリーズは、開いた状態で7.6インチのディスプレイを搭載していたが、今回のモデルではそれを上回るサイズが期待される。折りたたんだ状態では、スマートフォンとしての操作性を確保しつつ、展開すればタブレットのような大画面体験が可能になるというのが最大の特徴だ。しかし、サイズが大きくなることで、片手操作が難しくなることや、ポケットに入れにくいといった課題が生じる可能性もある。
さらに、バッテリー消費の問題も無視できない。大画面化に伴い消費電力が増えるため、サムスンがどのようなバッテリー技術を採用するのかが注目される。従来の折りたたみモデルと比較して、バッテリー容量や充電速度に改良が加えられるかどうかが、実用性の面で大きなポイントとなるだろう。
サムスンのデュアルフォールド戦略と市場への影響
サムスンがこの新型デバイスを約20万台のみ生産する計画であることから、当初は限られた市場向けの展開となる可能性が高い。Galaxy Fold SEのように特定の地域に限定して販売される見込みだが、この戦略が折りたたみ市場にどのような影響を与えるのかが注目される。
まず、この限定生産が意味するのは、新しいデュアルフォールド技術の市場評価を測るテスト的な側面があることだ。大規模生産に踏み切る前に、耐久性や消費者の反応を確認し、将来的な量産モデルへとつなげる可能性がある。これは、過去にサムスンがGalaxy Fold初代モデルで耐久性の課題を抱えた経緯を踏まえた慎重なアプローチともいえる。
また、サムスンはこのデバイスで、ファーウェイをはじめとする中国メーカーとの競争に対応すると同時に、アップルが折りたたみ市場へ参入する動きを牽制する狙いもあると考えられる。アップルは折りたたみデバイスの開発を進めているとされるが、サムスンは先行して市場の主導権を確立し、技術的優位性をアピールすることを目指している。
このデバイスが消費者にどのように受け入れられるかは、価格や使い勝手に大きく左右される。特に、Sペンが非対応になる可能性が高いため、従来のGalaxy Z Foldシリーズのユーザーにとっては、利用スタイルが変わることになるかもしれない。今後の正式発表とともに、販売戦略や対応市場の詳細が明らかになることが期待される。
Source：PUNE.NEWS