Pixelmatorの写真編集アプリがAppleによる正式な所有確認から2週間後に更新された。今回のアップデートでは、新機能の追加はなく、主にバグ修正とパフォーマンス改善が中心となっている。Apple傘下での初の動きとなるが、これまでのPixelmatorとは異なり、アップデート内容の詳細な説明は控えめなものとなっている。

Appleは2024年11月にPixelmatorの買収を発表したが、規制当局の承認を経て、2月11日に正式にAppleの一部となった。このタイミングで、Pixelmatorのアプリに「Pixelmatorは正式にAppleの一部になりました」というスプラッシュ画面が追加され、所有権の変更がユーザーにも通知された。

その後、今回のアップデートが配信されたが、Pixelmator、Pixelmator Pro、Photomatorのいずれも、ビジネスモデルや価格設定には変化がなく、無料化などの憶測は今のところ実現していない。リリースノートには「バグ修正と改善」とのみ記載されており、従来のPixelmatorの詳細なアップデート内容とは異なる形となっている。この変化が今後のアプリ開発方針にどのような影響を与えるのか、注目が集まる。

Pixelmatorの買収後、アップデートの内容はどう変わったのか

AppleによるPixelmatorの買収後、初めてのアップデートが実施された。これまでPixelmatorは、機能追加のたびに詳細なリリースノートを提供し、ユーザーが変更点を把握しやすい形を取っていた。しかし今回のアップデートでは「バグ修正と改善」という非常に簡潔な説明がされている。

これは、AppleがPixelmatorの開発方針を統一し、同社のアプリと同様にシンプルなリリースノートへ移行した可能性がある。実際、Appleの公式アプリも細かい修正内容は記載されず、全体的な改善という形でまとめられることが多い。

また、今回のアップデートがPixelmator、Pixelmator Pro、Photomatorの3つのアプリで同時に適用された点も注目すべきだ。これまでは個別のアプリごとにアップデートが行われることが多かったが、Appleの一部となったことで、今後は同時に管理・配信されるケースが増えるかもしれない。これは利便性向上につながる一方で、個々のアプリの独自性が薄れる可能性も考えられる。

Appleの買収でPixelmatorのビジネスモデルは変わるのか

Pixelmatorの買収が発表された際、一部では「Appleがこれを無料化するのではないか?」という憶測が飛び交った。これは、Appleが一部の買収企業の製品をAppleエコシステムに組み込み、無料またはサブスクリプションサービスに統合することがあるためだ。しかし、今回のアップデートではPixelmatorの価格体系に変更はなく、買い切り型やアプリ内課金モデルは維持されている。

Appleは過去に多くの開発企業を買収してきたが、それらのビジネスモデルは統一されているわけではない。例えば、音楽制作アプリ「Logic Pro」や動画編集ソフト「Final Cut Pro」は買い切り型を維持している一方で、「Shazam」のように完全無料化された例もある。Pixelmatorがどちらの方向に進むのかは、今後のアップデートで明らかになるだろう。

さらに、AppleがPixelmatorの技術を自社のネイティブアプリに組み込む可能性もある。たとえば、iOSやmacOSの「写真」アプリの編集機能が強化されるかもしれない。しかし、Pixelmatorの有料ユーザーにとっては、現在の機能がそのまま維持されるのか、それともApple製アプリの一部となって変化するのかは、今後の展開を注視する必要がある。

Pixelmatorの今後のアップデートはAppleの影響を受けるのか

今回のアップデートでは機能の追加はなかったが、Apple傘下となったことで、今後の開発方針が変わる可能性がある。Appleの買収後に大きく変化したアプリの例として、2018年にAppleが買収したワークフロー自動化アプリ「Workflow」がある。これはのちに「ショートカット」アプリへと改名され、iOSの標準機能に組み込まれた。Pixelmatorも、将来的にAppleの標準アプリやソフトウェアの一部として機能が取り込まれる可能性がある。

また、Appleはハードウェアとソフトウェアの連携を重視する傾向があるため、Pixelmatorの最適化がAppleシリコン向けに進む可能性がある。すでにPixelmator ProはMシリーズチップに最適化されているが、今後はApple独自の機能との統合が進むかもしれない。たとえば、AppleのNeural Engineを活用したAI編集機能の強化や、iCloudとのさらなる連携が考えられる。

ただし、Appleの影響が強まることで、従来のPixelmatorの開発スタイルが変わる懸念もある。Pixelmatorはこれまで独立系開発者による柔軟な機能追加が魅力だったが、Appleの管理下に入ることでそのスピード感が変化する可能性がある。ユーザーにとっては、今後のアップデートが従来のPixelmatorのスタイルを保つのか、それともApple流に変化するのかを見守ることが重要となるだろう。

Source:9to5Mac