Nvidiaの最新GPU「RTX 5090」の一部モデルで、ROP(レンダリング出力ユニット)の数が仕様よりも少ない個体が出荷されていることが明らかになった。報告によると、MSIやZotac、Gigabyteなど複数のメーカーのモデルでこの問題が確認されており、Founders Editionも例外ではない。
ROP数の減少により、特定のゲームやベンチマークテストで最大11%の性能低下が発生する可能性が指摘されている。この問題は、ハードウェアの仕様変更やバグではなく、一部のRTX 5090に搭載されているGB202チップのROP数が削減されていることが原因とされている。
ソフトウェアのアップデートやBIOSの変更では修正できず、ユーザー側で対応することは難しい状況だ。また、中国市場向けのRTX 5090Dにも同様の問題が発生している可能性がある。
GPU-ZやHWiNFOなどのツールを用いることで、自身のRTX 5090が影響を受けているかを確認することが可能だが、現在のところメーカーやNvidiaから公式な対応策は発表されていない。高額なフラッグシップGPUでこのような問題が発生したことで、購入者の間では懸念の声が広がっている。今後の追加報告やNvidiaの対応が注目される。
ROP数削減の影響 ゲーム性能への具体的な影響とは
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RTX 5090の一部モデルで確認されたROPユニットの削減は、ゲームパフォーマンスにどのような影響を与えるのか。最新のベンチマーク結果によると、『3DMark Time Spy Extreme』では最大11%のスコア低下が確認されており、『Elden Ring』でも最大8.5%のフレームレート低下が発生している。特に、解像度が高くGPU負荷の大きいタイトルでは、この差がより顕著になる可能性がある。
ROPユニットは、GPUの描画処理においてピクセルデータを処理し、フレームバッファに転送する役割を担っている。そのため、ROP数が削減されるとピクセル処理能力が低下し、特に4Kや8Kといった高解像度環境ではフレームレートの低下が目立ちやすくなる。
逆に、低解像度のゲームでは影響が少ない可能性があるが、フラッグシップモデルであるRTX 5090を購入するユーザーの多くは高解像度設定を求めるため、影響は無視できない。また、影響の大小はゲームの最適化状況にも左右される。例えば、『DOOM Eternal』や『Starfield』のようにGPUリソースを効率的に活用するタイトルでは性能低下がほとんど見られなかった。
しかし、一部のゲームではROP数がボトルネックとなることで描画負荷が増し、カクつきやフレームドロップが発生することも考えられる。今回の問題がすべてのユーザーに影響するわけではないが、高価なGPUを購入したユーザーにとっては無視できない事態となっている。
RTX 5090のROP数削減は意図的な仕様か それとも製造上の問題か
この問題が発覚した背景には、NvidiaのGB202チップの供給状況が大きく関係している可能性がある。Blackwellアーキテクチャを採用したRTX 5090は、通常176個のROPを搭載しているとされるが、一部のモデルでは168個しか有効化されていないことが判明した。
ROP数が削減されている個体が市場に流通している理由として、製造上の歩留まり向上や供給不足を補うための措置である可能性が考えられる。GPUの製造工程では、シリコンウェハー上に作られたチップのすべてが完全な状態で機能するわけではない。そのため、特定のユニットを無効化し、仕様を調整することで歩留まりを向上させるのは一般的な手法である。
しかし、今回のRTX 5090のケースでは、公式仕様と異なるROP数の個体が市場に出回っていることが問題視されている。Nvidiaは公式には176ROPを有効化するとしているが、実際には一部のモデルで仕様が異なっているため、ユーザーからの不信感を招いている。
また、Nvidiaは以前にもGeForce GTX 970のVRAM仕様を巡って誤解を招く発表を行い、後に謝罪に追い込まれた過去がある。そのため、今回の件も単なる仕様変更なのか、それとも意図的に出荷されたのかが問われることになりそうだ。現時点ではNvidiaからの正式なコメントはなく、各メーカーからの説明もなされていないため、今後の対応が注目される。
影響を受けたRTX 5090の確認方法とユーザーが取るべき対応
今回の問題に直面しているユーザーが、自分のRTX 5090が影響を受けているかどうかを確認する方法として、GPU-ZやHWiNFOなどの診断ツールを使用するのが有効だ。これらのツールはNvidiaのNVAPIを使用してGPUの詳細な情報を取得するため、ROP数の違いを正確に検出できる。
具体的には、GPU-Zの「ROPs/TMUs」セクションを確認し、仕様通りの176ROPが有効になっているかをチェックするのが最も簡単な方法となる。もし購入したRTX 5090のROP数が仕様と異なる場合、返品や交換の可能性を検討するのも選択肢の一つだ。
ただし、現在Blackwellアーキテクチャの供給不足が続いており、RTX 5090の在庫が限られているため、すぐに交換対応を受けられるとは限らない。特にカスタムモデルの場合、メーカーの対応方針によっては返品が受け付けられない可能性もあるため、事前に確認が必要だ。
また、実際にどの程度の性能差が発生するのかはゲームごとに異なるため、使用環境を考慮した上で判断することも重要だ。4Kや8Kでのプレイを想定しているユーザーは、影響が大きくなる可能性があるため慎重な判断が求められる。今後Nvidiaや各メーカーがどのような対応を取るのかを注視しつつ、購入したGPUの仕様を確認することが推奨される。
Source:Tom’s Hardware