Appleが開発を進めているとされる「Pro Display XDR 2」に関する情報が徐々に明らかになってきた。2019年に登場した初代Pro Display XDRは、5,000ドルの高価格帯ディスプレイとして注目を集めたが、その後のアップデートはなく、次世代モデルの登場が待たれている。
Appleは現在、外部ディスプレイのラインナップ拡充を進めており、次世代Pro Display XDRにはApple Siliconチップが搭載される可能性が高い。これにより、内蔵カメラやスピーカーの追加といった進化も期待される。さらに、MacBook Proに採用された量子ドットフィルム技術を導入し、従来モデルよりも優れた色再現性と輝度性能を実現する可能性も指摘されている。
一方で、AppleがPro Display XDR 2に120Hzのリフレッシュレートを搭載するかは不明だ。すでにMacBookシリーズでは3年以上前からProMotion(120Hz)が導入されており、5,000ドルを超えるディスプレイにもこの仕様が適用されることが期待されている。発売時期については、アナリストの予測によると2025年後半から2026年初頭とされているが、Appleにとって優先度が低いプロジェクトであるとの見方もあり、正式な発表を待つ必要がある。
Apple Silicon搭載で変わる外部ディスプレイの可能性
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Pro Display XDR 2にApple Siliconが搭載される可能性が高まっている。従来の外部ディスプレイは、接続するMacのGPU性能に依存していたが、Apple Siliconが内蔵されることで、ディスプレイ自体が高度な処理を行えるようになる。これにより、表示の遅延を最小限に抑えたり、より精密な映像調整が可能になったりすることが期待される。
また、Apple Siliconの搭載は、内蔵カメラやスピーカーの実装を可能にする要素でもある。Studio DisplayにはA13 Bionicチップが搭載され、Center Stageによる被写体の自動追尾や空間オーディオなどが実現された。これを踏まえると、Pro Display XDR 2でも同様の機能が導入される可能性は高い。特に、プロ向けディスプレイとしての用途を考えれば、高解像度の内蔵カメラや高度なマイクシステムの搭載も考えられる。
さらに、Apple Siliconによって独自の画像処理エンジンを搭載できる点も見逃せない。HDR処理や色補正、さらにはディープラーニングを活用した映像最適化機能が強化されることで、クリエイター向けディスプレイとしての価値が向上するだろう。ただし、これらの機能が実装された場合、Pro Display XDR 2の価格がさらに高騰する可能性もあるため、その点は慎重に見極める必要がある。
量子ドットフィルムの採用で色再現性が向上
ディスプレイアナリストのRoss Young氏によると、次世代Pro Display XDRには量子ドットフィルム技術が採用される可能性がある。これは、MacBook Proにも搭載されている技術であり、従来のKSF蛍光体を置き換える形で導入されると考えられている。この技術の利点は、色の純度を向上させつつ、高輝度と低消費電力を両立できる点にある。
現在のPro Display XDRは、IPSパネルとローカルディミングゾーンによってHDR表示を実現している。しかし、量子ドット技術が加わることで、より正確な色再現が可能になり、特に映画編集や写真編集などの分野で恩恵を受けることになるだろう。また、色域の広がりによって、印刷業界などでもより厳密なカラーマネジメントが求められる用途に適したディスプレイとなる可能性が高い。
一方で、Appleがこの技術をどのように活用するかは不明だ。たとえば、mini-LEDとの組み合わせがあるのか、あるいは将来的にmicro-LED技術へと移行する布石なのかといった点も注目される。Appleはディスプレイ技術において独自の進化を遂げてきたが、今回の量子ドットフィルム採用が単なる技術向上に留まらず、新たな映像体験の提供につながるかどうかが今後の焦点となる。
高リフレッシュレートの搭載は実現するのか
Pro Display XDR 2のリフレッシュレートに関する情報はまだ確定していないが、120HzのProMotionが採用される可能性は十分にある。現在、MacBook Proではすでに120Hzの可変リフレッシュレートが導入されており、映像の滑らかさや応答速度の向上が実現している。一方で、Pro Display XDRの後継機が同じ技術を採用するかは不透明だ。
現行のPro Display XDRは60Hzで動作しており、映像制作やグラフィックデザイン向けの用途では十分な性能を備えている。しかし、最新のクリエイター向けモニターでは120Hz以上のリフレッシュレートを持つ製品も増えており、高価格帯のディスプレイとしてPro Display XDR 2がこれに追随するのは自然な流れといえる。特に、アニメーション制作やゲーム開発の現場では、高リフレッシュレートのモニターが求められるため、Appleがこのニーズに応えるかどうかは大きな注目点となる。
ただし、Appleがすぐに120Hz対応へ移行するとは限らない。MacBookシリーズで採用されているProMotionは、バッテリー消費を抑えるためにリフレッシュレートを可変させる技術だが、外部ディスプレイではこのような省電力の必要性が低いため、別のアプローチが取られる可能性もある。また、60Hz以上のリフレッシュレートを安定して出力するには、接続するMacの性能も影響を与えるため、Apple Silicon Macとの最適化がどのように進められるのかが課題となるだろう。
Source:9to5Mac