Samsungの最新フラッグシップモデルGalaxy S25シリーズに、新たなAI機能「推奨返信(Suggested Replies)」が搭載された。この機能は、Samsung Keyboardを使用することで、WhatsAppなどのメッセージアプリ内でAIが返信を提案する仕組みだ。
推奨返信機能はGalaxy S25のLabs設定内で利用できるが、現時点ではサードパーティ製のキーボードには対応していない。ユーザーはAIが生成した返信を選択し、送信前に編集も可能だ。Rahman氏のテストによると、WhatsAppでは動作したが、Googleメッセージでは確認されていない。
この機能の導入により、メッセージのやり取りがスムーズになり、効率的なコミュニケーションが可能になると考えられる。ただし、SamsungがどのAI技術を活用しているかは明らかにされておらず、今後のアップデートによって対応アプリの拡大や機能の強化が期待される。
AIによる「推奨返信」機能の仕組みとSamsung Keyboardの役割
![](https://tech-gadget.reinforz.co.jp/wp-content/uploads/2024/06/23192300_m-1024x576.jpg)
Galaxy S25シリーズに搭載されたAIによる推奨返信機能は、Samsung Keyboardを介して動作する。この機能は、受信したメッセージの内容を分析し、適切な返信候補を提示するものだ。例えば、「今週末の予定は?」といったメッセージに対し、「まだ決めていない」「友人と出かける予定」などの候補が自動で表示される。
この推奨返信機能が利用できるのは、SamsungのLabs設定内で有効化した場合のみとなっており、現在のところサードパーティ製キーボード(GboardやSwiftKeyなど)では使用できない。そのため、Samsung Keyboardを使用していることが前提条件となる。Samsungがこの機能を標準機能として今後正式に実装するかは明らかではないが、Labs内で提供されていることから、現在は実験的な段階にあると考えられる。
AIがどのように返信候補を生成しているのかは公式には発表されていないが、SamsungのGalaxy AIが関与している可能性がある。また、処理がどの程度クラウドベースなのか、それとも完全にデバイス内で行われるのかも気になる点だ。現時点では「メッセージはデバイス内で処理される」と説明されており、プライバシーを考慮した設計がされているようだ。しかし、将来的にこの機能が拡張され、より高度なAIモデルを活用することになれば、クラウド処理が必要になる可能性もあるだろう。
AI返信の活用とメッセージング体験の変化
推奨返信機能は、従来のスマートフォンのメッセージング体験を変える可能性がある。特に、短時間で効率よく返信を行いたい場面で役立つ。例えば、運転中や仕事中など、すぐに返信するのが難しい状況でも、事前に提案されたメッセージをタップするだけで送信できるため、迅速なやり取りが可能になる。
また、推奨返信の内容が適切であれば、メッセージのやり取りがよりスムーズになる。現在もGoogleメッセージには「スマート返信」という似た機能が存在しているが、Samsungの推奨返信機能はSamsung Keyboardに統合されている点が特徴的だ。これは、Samsung独自のエコシステムにおいてより深く統合されていく可能性を示唆している。
一方で、AIによる返信候補は万能ではなく、文脈を完全に理解できるわけではない。たとえば、冗談や皮肉を含むメッセージに対して適切な返信が選択できない可能性もある。また、AIによる提案に依存しすぎることで、ユーザー自身のコミュニケーション能力が低下するのではないかという懸念もある。これらの点を踏まえながら、推奨返信機能をどのように活用するかはユーザー次第といえる。
今後のアップデートとSamsungのAI戦略
推奨返信機能は現在Galaxy S25シリーズのみに搭載されているが、Samsungは今後のソフトウェアアップデートで他のGalaxyデバイスにも提供する可能性がある。特に、One UI 7の正式リリース後、Galaxy S24 Ultraなどのハイエンドモデルでの対応が期待される。
Samsungは最近、AI機能を強化する方向に進んでおり、Galaxy AIを中心にさまざまな新機能を導入している。推奨返信もその一環と考えられるが、今後SamsungがどのようなAI技術を取り入れるかによって、機能の進化は大きく左右される。特に、GoogleのGeminiや他の大規模言語モデル(LLM)をどの程度活用するのかが注目される点だ。
また、Samsungはプライバシー保護を重視しており、推奨返信の処理がデバイス内で行われる点を強調している。しかし、より高度なAI機能を実現するには、クラウドベースのデータ処理が不可欠となる場面も出てくるだろう。その場合、ユーザーのデータ管理方針やAIの学習プロセスについて透明性を持つことが重要となる。
推奨返信機能は、現時点では限定的なものではあるが、将来的により多くのメッセージングアプリやキーボードに対応し、より高度なAIによる返信が可能になるかもしれない。Samsungが今後どのようにAI機能を発展させるか、今後の展開に注目が集まる。
Source:Android Central