サムスンは2024年にタブレット戦略を大幅に見直し、ラインナップを縮小した。前年の7モデルから4モデルへと絞り込み、プレミアムモデルの再編やエントリーモデルの廃止を実施した。この決断は一見すると後退のように映るが、最新の市場データによると、同社の出荷台数は前年比8.2%増を記録し、成長率でアップルを上回った。
特に、第4四半期に投入されたGalaxy Tab S10+とGalaxy Tab S10 Ultraの影響が大きく、700万台の出荷を達成。前年同期の680万台を超える結果となった。市場全体の成長と相まって、サムスンの戦略変更はポジティブな影響をもたらしたと考えられる。
2024年の世界のタブレット出荷台数は1億4,760万台に達し、北米を除くすべての地域で需要が拡大。サムスンは市場での地位をより強固なものにしつつ、今後のさらなる成長に向けた足場を築いた。
Galaxyタブレットのラインナップ縮小がもたらした変化
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サムスンは2024年、タブレットラインナップを大幅に整理し、4機種に絞り込んだ。これまでのように多彩な選択肢を用意するのではなく、必要なモデルにフォーカスする方針を取った結果、市場の動向に変化が見られた。
特に、エントリー向けのGalaxy Tab Sが廃止された点が注目される。これにより、初心者向けの選択肢は減少したが、その分、ミッドレンジ以上のモデルが強化された。Galaxy Tab S6 Lite(2024年版)は手頃な価格帯を維持しつつ、機能面では上位機種に近い仕様を備えている。プレミアムモデルでは、Galaxy Tab S10+とS10 Ultraが主力となり、プロフェッショナルユーザー向けの選択肢としての存在感を増した。
この再編により、モデルごとの差別化が明確になった点は評価できる。従来のような微妙なスペックの違いによる選択の難しさが減り、ユーザーは自分に適したモデルをより直感的に選べるようになった。特に、タブレット市場での競争が激化する中、無駄なモデルを整理することで開発リソースを集中させる戦略は理にかなっている。
Galaxy Tab S10シリーズの投入が第4四半期の出荷を押し上げた
サムスンは2024年第4四半期にGalaxy Tab S10+とGalaxy Tab S10 Ultraを投入し、出荷台数を伸ばすことに成功した。特に、前年同期と比較して20万台増加したことから、新モデルの投入が市場に与えた影響がうかがえる。
この2機種は、従来のGalaxy Tab Sシリーズと比較して、よりパワフルなプロセッサを搭載し、ディスプレイの改良が施されている。Galaxy Tab S10 Ultraに至っては、Sペンの機能向上やマルチタスク性能の向上が図られ、クリエイティブな作業を求めるユーザー層に強く訴求した。一方で、S10+はバランスの取れたスペックで、一般ユーザーからプロフェッショナルまで幅広い層に対応できる設計となっている。
これらの改良により、第4四半期の出荷増加につながった可能性が高い。特にホリデーシーズンの需要と重なったことが追い風となり、サムスンのタブレット事業にとって重要な期間となった。市場全体でタブレット需要が回復傾向にある中、適切なタイミングでの新製品投入が成功を後押しした形だ。
タブレット市場全体の成長と今後の展望
2024年のタブレット市場は、世界全体で9.2%の成長を記録した。特に北米を除く地域での需要が伸び、サムスンをはじめとする各メーカーが恩恵を受けた。
市場全体の成長は、リモートワークやオンライン教育の定着、コンテンツ消費の増加などが背景にあると考えられる。加えて、軽量で高性能なタブレットの登場により、ノートPCの代替としての需要が高まったことも要因の一つだ。サムスンのGalaxy Tabシリーズは、このような市場の変化に適応する形でラインナップを再編し、成長の波に乗ることができた。
今後の展望としては、折りたたみ式ディスプレイやさらなるAI機能の強化が予想される。タブレット市場は単なる消費デバイスから、生産性向上ツールへとシフトしつつあり、メーカー各社がどのような革新を打ち出すかが鍵となる。サムスンはすでにスマートフォン市場で折りたたみ技術を活用しており、今後タブレット分野にも応用する可能性がある。
サムスンのタブレット事業は、2024年のラインナップ整理によって成長基盤を強化した。今後の製品戦略が、競争が激化する市場でどのように展開されるのか、引き続き注目される。
Source:SamMobile