Microsoft は、新たな Surface Pro 11 および Surface Laptop 7 の Intel 搭載モデルを正式に発表した。これらは Intel の最新プロセッサ「Lunar Lake」を採用し、Microsoft 初の Intel ベースの Copilot+ PC となる。
新型 Surface Laptop 7 は 13.8インチと 15インチの 2 種類が用意され、最大 32GB の RAM と 1TB SSD、Wi-Fi 7 など最新の通信規格にも対応。特に企業向けに販売され、一般の家電量販店では入手できない仕様となる。
Surface Pro 11 も Intel Core Ultra プロセッサを採用し、3:2 アスペクト比の 13インチ OLED / LCD ディスプレイを搭載。Snapdragon モデルとの差別化要素として、反射防止スクリーンや x86 互換性を提供し、企業ユーザーにとって魅力的な選択肢となる。
Intel 搭載 Surface、Snapdragon モデルとの違いは何か
新たに発表された Surface Pro 11 および Surface Laptop 7 の Intel モデルは、すでに登場している Snapdragon X Elite / X Plus 搭載モデルと並行して展開される。両者の違いは、単にプロセッサが異なるだけではなく、ハードウェアの特性や市場での位置づけにも影響を及ぼしている。まず、Intel モデルの最大の特徴は x86 アーキテクチャを採用している点にある。
これにより、長年 Windows PC で使用されてきた膨大な数のアプリがネイティブで動作する。一方、Snapdragon モデルは Arm アーキテクチャを採用しており、Windows 11 の Arm 版エミュレーション技術を利用しなければならない場合がある。この違いは、特に業務で利用するソフトウェアに x86 専用のものが含まれる場合に大きな影響を与える。
また、ディスプレイに関しても差がある。Intel モデルは反射防止加工が施されたパネルを採用しており、これまでの Surface シリーズにはなかった改良点となる。特に屋外や明るいオフィス環境での視認性向上が期待される。加えて、Surface Laptop 7 の Intel モデルは microSD カードスロットを搭載し、拡張性を重視した設計になっている。
価格面では、Intel モデルは Snapdragon モデルよりも $400 高い設定となっている。この差額の理由として、反射防止スクリーンや x86 アプリのネイティブサポートが挙げられる。ただし、この価格差が実際にユーザーにとって妥当かどうかは、利用シナリオや求める機能によって変わってくるだろう。
新たな Copilot+ PC、AI 処理能力はどこまで進化したのか
今回発表された Surface Pro 11 と Surface Laptop 7 は、Intel Core Ultra 5 / 7 (シリーズ 2) を搭載し、Copilot+ PC に対応している。これにより、従来の AI 機能に比べて大幅に強化されたエクスペリエンスが提供される。
Intel Core Ultra シリーズ 2 は、NPU (Neural Processing Unit) に「Intel AI Boost」を搭載し、Ultra 5 で 40 TOPS、Ultra 7 で 48 TOPS の処理能力を持つ。これは AI 推論処理の速度を向上させるもので、特に Copilot+ に関連する機能で恩恵を受ける。例えば、画像や音声認識、テキスト要約、リアルタイム翻訳といった作業が、従来よりも高速かつスムーズに実行できるようになる。
また、Windows 11 は AI の活用を前提とした設計へと進化しており、Copilot+ PC ではローカルでの AI 処理が強化される。従来はクラウド上で行われていた処理が、NPU を活用することでデバイス上で完結するようになり、処理速度の向上とプライバシー面での利点が生まれる。特に企業向けモデルとしての展開を考慮すると、クラウド依存度の低減は大きなアドバンテージとなる。
ただし、実際にどこまでの処理がローカルで可能なのか、どのアプリが NPU の恩恵を受けるのかは、今後のソフトウェア対応による部分も大きい。例えば、動画編集や 3D モデリングといったクリエイティブ作業において AI の介入がどれほど実用的かは、今後のアップデートや対応ソフトウェアの充実度次第となるだろう。
新型 Surface Dock の登場、拡張性の選択肢は広がるか
Microsoft は、今回の新型 Surface シリーズとともに「Surface USB4 Dock」も発表した。これは、従来の Surface Thunderbolt 4 Dock よりも小型化されたモデルであり、価格も抑えられている。
Surface USB4 Dock は、Thunderbolt 4 には対応していないものの、USB4 による高速データ転送を可能にする。価格は $199 で、より手軽に導入しやすいモデルとなっている。これにより、既存の Surface Thunderbolt 4 Dock ($299) と比較して、価格を優先するユーザーにとって新たな選択肢となる。
また、Intel 搭載 Surface Laptop 7 では USB4 Type-C ポートが 2 つ搭載されており、このドックとの組み合わせでさらなる拡張性が期待できる。特に、複数の外部ディスプレイや高速ストレージを接続したい場合に有効となる。一方で、従来の Surface Connect ポートは引き続き搭載されているため、従来の Surface ドックをそのまま活用することも可能だ。
ただし、USB4 Dock はポート数が抑えられており、多くの周辺機器を同時に接続する場合は Thunderbolt 4 Dock の方が適している可能性がある。また、5G モデルが登場する予定の Surface Laptop 7 にとって、USB4 の活用範囲がどこまで広がるかも注目点となるだろう。
新たな Surface シリーズの登場により、拡張性の選択肢は確実に増えている。今後、ユーザーがどの周辺機器をどのように組み合わせるかによって、最適なデバイス環境を構築できる可能性が広がっていくだろう。
Source:Windows Central