Macでのゲームプレイ環境は近年大きく進化している。『バイオハザード』『デス・ストランディング』『Hades II』などの人気タイトルが登場し、今後も『Cyberpunk 2077 Ultimate Edition』などのリリースが予定されている。しかし、AAA級タイトルは膨大なストレージを必要とし、256GBの標準ストレージではインストールすら困難になる場合がある。
内蔵ストレージのアップグレードは高額だが、外部SSDを活用すれば手頃な価格で大容量ストレージを確保できる。Mac App StoreやSteamの設定を変更することで、ゲームを外部ドライブにインストールすることも可能だ。適切なストレージ戦略を採用し、Macで快適なゲーム体験を実現しよう。
Macのゲーム環境が進化する中で直面するストレージの壁
Macでのゲーム体験は大きく向上している。Appleは「Game Porting Toolkit」の導入により、Windows向けタイトルの移植を支援し、開発者がMac版のリリースを積極的に検討する流れを生み出した。
実際に『バイオハザード RE:4』や『デス・ストランディング』などのAAA級タイトルがMac対応を果たし、今後も『Cyberpunk 2077 Ultimate Edition』や『Control Ultimate Edition』といった人気作の登場が予定されている。
しかし、こうしたゲームの多くは高いストレージ容量を要求する。特に、オープンワールドゲームや高解像度テクスチャを備えたタイトルは100GB以上のインストールスペースが必要になることが一般的だ。例えば、『Baldur’s Gate 3』は最低150GBの空き容量を求めるが、Macの標準構成は256GBから始まるため、ほとんどのユーザーにとってストレージ不足は深刻な問題となる。
さらに、システムファイルやアプリケーションが占める領域を考慮すると、AAAタイトルを複数インストールするのは非現実的だ。この課題に対処するために、Appleはストレージのアップグレードオプションを提供しているが、価格は決して安くない。
例えば、M4 Mac miniの場合、256GBから512GBへ増設するのに約3万円、1TBへのアップグレードには約6万円が必要になる。より大容量の2TBモデルに至っては約12万円と、ストレージ強化には相応のコストがかかるのが現状だ。
このような状況下で注目されているのが、外部ストレージの活用である。特に、USB-CやThunderbolt接続の外部SSDは、コストパフォーマンスに優れた解決策となり得る。Appleの内蔵ストレージ拡張よりも、手頃な価格で大容量のストレージを確保できるため、多くのユーザーにとって現実的な選択肢となっている。
外部SSDの選び方と最適な接続方式
外部ストレージを活用することで、Macのストレージ不足を解消できるが、適切なSSDを選ぶことが重要である。特に、転送速度の違いはゲームのロード時間やパフォーマンスに直接影響を与えるため、単に大容量のドライブを選ぶだけでは不十分だ。
現在、市場にはさまざまな外部SSDが存在するが、主に「USB 3.2 Gen 2」「USB 4」「Thunderbolt 3/4」などの接続方式に分かれる。一般的なUSB 3.2 Gen 2接続のSSDは最大10Gbpsの転送速度を持ち、カジュアルなゲームプレイには十分な性能を発揮する。
一方、Thunderbolt 3や4対応のSSDは最大40Gbpsの帯域幅を誇り、ロード時間の短縮や大容量データの高速転送が求められる場面で有利となる。例えば、Samsungの「T7 Shield」はUSB 3.2 Gen 2対応で、比較的手頃な価格ながら優れた耐久性と速度を兼ね備えている。
一方、SanDiskの「Extreme Pro V2」は、より高速な転送速度を実現し、より安定したパフォーマンスを提供するため、AAA級タイトルのロード時間短縮に適している。さらに、Thunderbolt 3対応の「Samsung X5」は、超高速なNVMe SSDを採用しており、Macとの相性が良い選択肢の一つである。
また、外部SSDを選ぶ際には、ストレージのフォーマットにも注意が必要だ。macOSでは「APFS」または「Mac OS拡張(ジャーナリング)」が推奨されるが、Steamのゲームデータなどを扱う場合は「exFAT」形式にフォーマットすることで、Windowsとの互換性を確保できる。
外部SSDの性能を最大限に活かすには、Mac本体との接続方式を適切に選ぶことが求められる。USB 4やThunderbolt 3/4に対応しているMacであれば、高速なSSDを選ぶことで、内蔵ストレージとほぼ同等の快適なゲーム体験が可能となる。
Macでのゲーム環境を最適化するためのストレージ管理術
外部SSDを活用するだけでなく、Macのストレージ管理を最適化することで、より快適なゲーム体験を実現できる。特に、不要なデータの整理やキャッシュの削除を行うことで、ストレージの無駄遣いを防ぐことが重要だ。
まず、macOSには「ストレージ管理」機能が搭載されており、「不要なファイルの削除」「iCloudストレージの活用」「不要なアプリのアンインストール」などの機能を活用することで、内部ストレージの空き容量を増やせる。例えば、システムキャッシュやログファイルを定期的に削除するだけでも、数GBの容量を確保できることがある。
次に、SteamやMac App Storeの設定を適切に変更することで、ゲームデータの管理を効率化できる。Steamの場合、「ライブラリフォルダの管理」からインストール先を外部SSDに指定することで、ゲームごとに異なるストレージを選択できる。また、定期的に「ダウンロードキャッシュをクリア」することで、不要なデータを削除し、ストレージの無駄を減らすことが可能だ。
さらに、Mac App Storeの「大容量アプリのインストール先を指定」する設定を活用すれば、今後ダウンロードするゲームを自動的に外部ストレージに保存できる。この設定を有効にすることで、内部ストレージの消費を最小限に抑えつつ、快適なゲーム環境を維持することができる。
加えて、クラウドストレージを活用するのも有効な手段の一つだ。AppleのiCloud DriveやGoogle Driveを利用すれば、ゲームのセーブデータやスクリーンショットをクラウドに保存し、ローカルストレージの消費を抑えることができる。特に、MacとiPadを併用するユーザーであれば、クラウド同期を活用することで、異なるデバイス間でゲームデータをスムーズに共有できる。
このように、適切なストレージ管理術を取り入れることで、Macの限られたストレージ容量を最大限に活用し、快適なゲーム環境を維持することが可能となる。今後、Appleがさらにゲーム対応を強化する中で、こうした工夫がますます重要になっていくだろう。
Source:AppleInsider