WindowsとLinuxのゲームパフォーマンス比較により、AMD Radeon GPUが両OSで一貫した性能を発揮する一方、Nvidia GPUではLinuxでの性能低下が顕著であることが判明した。このテストは、Linuxディストリビューション「Bazzite」を用いて行われ、Cyberpunk 2077やBlack Myth Wukongなどでその差が確認された。

Bazziteは初心者にも使いやすい設計が特徴で、Steamのプリインストールやゲーム向け最適化が施されている。この結果から、AMD GPUはWindowsからLinuxへの移行時にも安定したゲーム体験を提供するが、Nvidiaユーザーは移行に際して慎重な検討が必要となるだろう。

AMDの安定した性能が示すWindowsとLinuxの互換性の利点

AMD Radeon GPUはWindowsとLinuxの両環境で一貫したパフォーマンスを提供することが明らかになった。YouTubeチャンネル「Tech YES City」によるテストでは、Cyberpunk 2077などのグラフィック負荷の高いゲームでも、WindowsとLinux間でほぼ同等の動作が確認された。この特徴は、特にLinux環境への移行を検討しているゲーマーにとって大きな安心材料となる。

Bazziteのような初心者向けLinuxディストリビューションが、この安定性をさらに支えている。Steamがプリインストールされ、HDRやVRRといった先進的な技術にも対応している点が、AMD GPUとの親和性を高めていると考えられる。AMDがLinuxのVulkanドライバ開発に積極的である点も、この結果を支える要因の一つである。

一方で、Nvidia GPUユーザーには異なる課題が存在する。Linux環境では最適化不足やドライバの相性問題が原因で、Windowsと同等の性能を発揮することが難しい場合がある。これに対し、AMDの安定した性能は、Linuxユーザーの拡大に寄与する可能性が高いといえる。


NvidiaユーザーがLinuxで直面するパフォーマンス低下の要因

Nvidia GPUは、Linux環境においてWindowsと同等のパフォーマンスを発揮することが難しいことが指摘されている。この原因として、ドライバの最適化不足や、Linux特有のハードウェアインタフェースとの相性が挙げられる。

実際に行われたテストでは、Cyberpunk 2077やBlack Myth Wukongなどの人気タイトルで、Nvidia RTX 4090を使用した場合にLinuxでのフレームレートが顕著に低下していた。この問題は特定のゲームに限定されるものではなく、NvidiaドライバがLinux上でWindowsと同じように動作しないという構造的な課題によるものと考えられる。

一部のタイトルではパフォーマンス差が見られない場合もあるが、全体としてはAMDのGPUに比べ、Linuxでの安定性に欠ける傾向がある。これにより、NvidiaユーザーがLinux環境への移行を検討する際には、ゲームタイトルの互換性や必要なフレームレートについて事前に調査する必要がある。今後のNvidiaドライバの改善が、この課題を解消するかどうかが注目されるポイントである。


Bazziteが示すLinuxゲーミングの未来

Bazziteは、Linux初心者やゲーム愛好者に向けた新しいディストリビューションとして注目されている。Fedora Atomicを基盤とし、Steamがプリインストールされているため、設定の煩雑さが大幅に軽減されている。また、応答性の高いCPUスケジューラーやコミュニティ主導のツール群が統合されており、ゲームプレイだけでなくストリーミングや録画の体験も向上させる。

このような設計は、従来Linuxが抱えていた「設定が難しい」というイメージを覆すものであり、より多くのユーザーがLinuxに関心を持つきっかけになる可能性がある。特に、Windowsのシステム要件を満たさないハードウェアを使用しているユーザーにとって、Bazziteは新たな選択肢となり得る。

今後、Linuxディストリビューションの進化とともに、NvidiaやAMDなどのGPUメーカーがどのように対応していくかによって、Linuxがゲーミングプラットフォームとしてより広く受け入れられるかどうかが決まるだろう。

Source:Neowin