ゲーム業界の最新調査「GDC State of the Industry」において、AppleのvisionOSがPlayStation VR2を上回る人気を示した。回答者の26%がApple visionOS用ソフトウェアを開発中と答えた一方で、PlayStation VR2向け開発は25%に留まった。この逆転は、Apple Vision Proが多機能デバイスとしての特性を持ちながらも、VR市場において開発者の注目を集めていることを示している。

Meta QuestやSteam VRが引き続き市場を支配する中、PlayStation VR2は苦戦を強いられ、同ブランドの市場シェア低下が続く可能性が指摘されている。さらに、Apple Vision Proの高価格帯にもかかわらず、開発者の支持を得ている現状は、今後のVR市場の方向性を占う重要な指標となり得る。

Apple Vision Proが開発者を引きつける理由

AppleのVision Proは、他のVRヘッドセットと比較してユニークな特性を持つ。特に注目されるのは、VR体験だけでなく生産性やエンターテインメントといった多様な用途に対応できる点である。公式サイトにおいても、ゲーム以外の活用が強調されており、この多機能性が開発者にとって魅力的な要因となっている。

さらに、Appleというブランド自体が持つ信頼性も見逃せない。Vision Proは3,500ドルという高価格であるにもかかわらず、開発者の26%がこのプラットフォームに注目しているという事実は、Appleのエコシステムに対する期待感を裏付ける。これには、Apple製品が提供する高品質な開発ツールやサポート体制が影響していると考えられる。

ただし、この動きは一般ユーザーへの普及とは直結しない可能性がある。価格の高さや限定的な流通などが障壁となる一方で、開発者たちは今後の市場拡大を見据えて早期参入を目指していると考えられる。この選択が長期的な競争力にどのような影響を与えるか注目したい。

PlayStation VR2が苦境に立たされる背景

PlayStation VR2は、発売以来市場での苦戦を続けている。VRゲーム専用に設計されているものの、ゲーム以外の用途が乏しいことや、有線接続が必要である点が競争力を削いでいるとされる。元PlayStation幹部が「成功の可能性を見誤った」と認めた発言は、こうした課題を象徴している。

Meta Questのようなワイヤレスかつ手頃な価格のデバイスが人気を集める中、PlayStation VR2の高性能さが必ずしも市場に響いていない現状がある。また、Sonyのエコシステムはゲーム専用機に特化しているため、AppleやMetaが展開する幅広いデバイス戦略に対抗しづらい構造的な問題も指摘されている。

ただし、PlayStation VR2が持つ強みも無視できない。特にPS5と連携することで高品質なVRゲーム体験を提供できる点は独自の価値である。今後のアップデートや価格戦略によっては、再び開発者やユーザーの注目を集める可能性があるだろう。

VR市場におけるMeta Questの優位性と今後の展望

現時点でVR市場をリードしているのはMeta Questであり、その理由は明確である。ワイヤレス接続による利便性と、一般ユーザーが購入しやすい価格帯が最大の強みとなっている。また、Metaが提供する広範なプラットフォームや豊富なソフトウェアライブラリが、多くの開発者にとって魅力的な環境を提供している。

この優位性は短期的には揺るがないと予想されるが、競合プラットフォームの動向も注視する必要がある。特にAppleのように、VR以外の用途に活用できるデバイスが登場することで、Metaの市場シェアが徐々に削られる可能性がある。Metaが新たな製品ラインを投入するか、価格戦略を調整することで、これにどう対応するかが焦点となる。

長期的には、VRデバイスの普及が進むことで市場全体が拡大することが予測される。この中で、Metaがそのシェアを維持できるかは、引き続き注目を集めるポイントである。

Source:VentureBeat