ラスベガスで開催されるCES 2025にて、サムスンディスプレイが18.1インチのフォルダブルOLEDディスプレイを公開する。このディスプレイは、折りたたんだ状態で13.1インチ、展開時には18.1インチとなり、モニターや大型タブレットとして機能する仕様である。
2022年発表の17.3インチモデルを進化させたものだが、同様に商用化の可能性は低いとされている。背景には、フォルダブルノートパソコンの価格が高騰し、消費者にとってコストに見合う価値が乏しいという課題がある。
一方で、サムスンはディスプレイ技術を外部メーカーにも提供しており、ASUSやLenovoが同技術を採用する可能性がある。高い技術力を示すこの展示は、ディスプレイ市場におけるサムスンの優位性を強調する場となりそうだ。
世界最大級のフォルダブルディスプレイが示す技術進化の軌跡
サムスンディスプレイがCES 2025で発表した18.1インチのフォルダブルOLEDディスプレイは、2022年に登場した17.3インチモデルの後継技術として登場した。折りたたみ時は13.1インチ、展開時には18.1インチまで広がる設計は、折り畳み技術の耐久性向上と視認性の向上を目指した成果である。
これにより、同一ディスプレイでタブレット、ノートパソコン、モニターの三役を担う利便性が実現されている。ただし、フォルダブルパネルは従来からコスト面の課題を抱えている。特に可動部を含む構造の複雑さにより量産時の歩留まりが低下する点は、製品化における大きなハードルである。
これに加え、ディスプレイ面積の増加による消費電力の上昇も、ユーザーエクスペリエンスに影響を与えかねない要素として指摘されている。サムスンはCESという場を通じて、技術力のさらなる向上をアピールしつつ、次世代デバイスの可能性を示したといえる。
商用化の壁と消費者ニーズの不一致
フォルダブルディスプレイを搭載したノートパソコンやタブレットが市販製品として普及しない主な要因は、価格と機能性のバランスである。通常のノートパソコンと比較して高価なこれらの製品は、現時点では価格に見合うだけの新しい使用方法や利便性が確立されていないと見られる。
特に、一般的な用途であれば従来型のノートパソコンやタブレットで十分であるため、価格差を正当化する理由が見いだしにくい状況にある。SamMobileの報告によると、2022年の17.3インチパネルも商業製品には採用されず、展示用途にとどまった。今回の18.1インチモデルも同様の道をたどる可能性が高い。
しかし、ASUSやLenovoといった外部メーカーがこの技術を導入することで、フォルダブルノートPC市場の拡大を試みることも考えられる。市場の需要が明確にならない限り、大規模な商業展開は困難であるものの、BtoB用途や限定的な市場では一定の需要が見込まれる。
他メーカー参入がもたらす市場への影響
フォルダブルOLEDパネルはサムスンの専売特許ではなく、ASUSやLenovoといった他社も積極的な導入を検討している。特にゲーミング用途やクリエイティブ作業向け市場では、柔軟なディスプレイの利便性は確かな強みとなる。
仮に複数のメーカーが競争に加われば、技術革新のスピードが加速し、コストダウンや新機能の追加が期待される。また、ディスプレイ市場における競争が激化すれば、新興技術に対するユーザーの関心が高まり、ニッチな用途から普及が進む可能性もある。
サムスンディスプレイがCESの場を活用して技術リーダーシップを発揮したことは、業界全体へのメッセージでもある。今後、他社の動向次第で市場の展開がどのように変化していくか注目される。