Appleがヨーロッパ市場からiPhone SE 3、iPhone 14、および14 Plusを撤退させることが明らかとなった。背景には、EUが義務付けるUSB-Cポート搭載規制がある。2024年12月28日までに規制を満たす製品のみを販売する必要があり、Appleは既存モデルの改修ではなく販売終了を選んだ。
この動きは、既存製品の寿命が終わりを迎えるタイミングとも一致している。第4世代のiPhone SEは来年初頭に発売される見込みであり、iPhone 14シリーズは来年9月の新型iPhone発表とともに販売終了となる予定だ。規制はヨーロッパに限定されており、他地域では引き続き販売が継続される。
Appleは次世代モデルに進化を進める一方で、ヨーロッパにおける規制対応を迫られた形である。市場環境の変化が、グローバルなスマートフォン戦略に影響を及ぼしている。
Appleが販売停止を選択した背景とEU規制の影響

EUは、電子機器の充電規格をUSB-Cに統一する新たな規制を施行した。この規制により、2024年12月28日以降はLightningコネクタを搭載したスマートフォンの販売が禁止される。Appleは、iPhone SE 3やiPhone 14シリーズのUSB-Cポートへの改修を行わず、これらのモデルの販売停止を決定した。
これは、販売終了を迫られたというよりも、新モデルへの移行を迅速化するための戦略的判断であると考えられる。欧州委員会の規制は、消費者の利便性向上と電子廃棄物削減を目的としている。これにより、充電器の買い替えが不要となり、環境負荷が軽減される見込みだ。
しかし、AppleがLightningコネクタを維持してきた背景には、独自規格による収益性確保やエコシステムの統一が挙げられる。今回の販売停止は、同社がEU規制に柔軟に対応しながらグローバル戦略を模索する転機となるだろう。
新モデルの計画が示すAppleの長期的戦略
Appleは、販売停止の対象となるモデルの後継機種として、第4世代のiPhone SEを2024年初頭に発売する計画を進めている。この新型は、iPhone 14に似たデザインを採用し、A18プロセッサや独自の5Gモデムを搭載するとされる。
また、同年9月にはiPhone 17シリーズの発表が噂されており、最薄デザインの「iPhone 17 Air」が注目を集めている。このような計画は、Appleが製品ラインアップの更新を通じて市場の多様なニーズに応え、ブランド価値を維持するための取り組みといえる。
同時に、新型iPhoneにはUSB-Cポートが標準装備される見込みであり、規制対応と革新性を両立させる姿勢がうかがえる。一方で、従来のLightningユーザーがエコシステム変更にどのように対応するかが課題となる可能性もある。
ヨーロッパ以外で続く販売と市場の反応
今回の販売停止措置はヨーロッパ市場に限定されており、他地域では引き続きiPhone SE 3やiPhone 14シリーズが販売される。特に北米やアジア市場では、この規制が適用されないため、現行モデルの販売が当面継続される見通しだ。
これは、Appleが地域ごとの規制や市場動向を考慮して柔軟に対応していることを示している。しかし、この動きに対してユーザーや業界関係者からは賛否が分かれている。一部の消費者はLightningコネクタの廃止を歓迎する一方で、既存アクセサリの互換性喪失を懸念する声もある。
Appleがこうした声にどのように応えるかは、同社の信頼性や顧客満足度に直結する重要な要素となるだろう。