QualcommのSnapdragon Xプロセッサを搭載したノートPCは、2024年第3四半期に約72万台の販売実績を記録したが、市場全体ではわずか0.8%にとどまった。Microsoftが推進する次世代Windows on Armの中核として期待されていたものの、AI PC市場では依然としてIntelやAMDのx86プロセッサが主流であり、Armベースの展開は限られている。

AI PC市場自体は成長を続け、第3四半期には全出荷台数の20%を占めたが、消費者の関心は低調であり、Snapdragon X搭載モデルは高価格と浸透率の低さが課題となっている。これに対し、Windows 11への移行や価格戦略の見直しが今後の普及に影響を与えると考えられている。

QualcommのSnapdragon X搭載PCが抱える課題と市場の反応

Snapdragon Xプロセッサを搭載したノートPCは、Windows on Arm技術の象徴とされるが、現状では市場で苦戦を強いられている。第3四半期における販売台数は約72万台と発表され、PC市場全体の0.8%にも満たない。これはCanalysの報告によると、AI PC市場全体が成長する中でArmベースのプロセッサの浸透が依然として遅れていることを示している。

MicrosoftのCopilot GenAI機能をサポートすることで次世代AI PCの先駆けとして位置づけられたが、高価格帯が普及の妨げとなっている。ほとんどのモデルが900ドル以上で販売されており、コストパフォーマンスに敏感なユーザー層にリーチできていないのが現状である。今後Qualcommが目指す700ドルの価格帯に引き下げる計画が、この状況をどれだけ改善できるかが鍵となる。

Snapdragon Xの最大の特徴である優れたバッテリー寿命が一定の評価を得ているものの、性能面や互換性の懸念が依然として根強い。特にx86アーキテクチャを採用するIntelやAMDの最新プロセッサが市場の主流であり続ける中、Armベースの技術がどのように差別化を図れるかが問われている。

AI PC市場の拡大とその主役たち

AI PC市場は急速に成長しており、第3四半期には全PC出荷台数の20%を占めた。この成長率は、第2四半期比で49%増という目覚ましいものだ。Canalysのデータによれば、この拡大はAI機能を備えたPCの供給が増加したことに起因している。

AI PCの定義には、少なくとも40 TOPsの性能を持つニューラル処理ユニット(NPU)を搭載することが含まれる。これによりSnapdragon Xのみならず、IntelのCore Ultra 200やAMDのRyzen AI 300も市場に参入している。これらの製品は、性能面で競争力を持ちながらも、価格設定や普及戦略で異なるアプローチを取っている。

一方で、消費者のAI PCへの認知度や関心はまだ高まっていない。特にGenAI機能に対する具体的な需要は限定的であり、この市場の成長は主にハードウェアの供給拡大によって支えられている状況だ。今後、MicrosoftのCopilotツールチェーンの拡充やWindows 11のアップグレード需要が、消費者の選択肢に影響を与える可能性がある。

将来の競争環境とNvidia参入の可能性

現時点では、Windows PC向けのArmプロセッサ市場でQualcommが主導的な役割を担っているが、この状況が続くとは限らない。Armは今後数年でAI PC市場に参入するプロセッサメーカーが増加すると予測しており、その中にはNvidiaが含まれる可能性があるという。

NvidiaはこれまでもGPU市場でAI関連技術をリードしてきた企業であり、Armアーキテクチャへの参入が現実化すれば市場競争が激化することは間違いない。これにより、Snapdragon Xを中心とする現行のArmベースPCが更なる競争力を求められることになるだろう。

一方で、競争の激化は消費者にとっての選択肢を増やし、価格競争を通じてより手頃な価格でのAI PCの提供につながる可能性がある。Snapdragon Xを擁するQualcommにとっては、既存の課題を克服しつつ、新たなプレーヤーに対抗するための戦略的な舵取りが求められる時期に差し掛かっている。