中国大手企業Tencentが、次世代ゲーミングハンドヘルド「3D One」のプロトタイプを発表した。このデバイスは、11インチの2.5K解像度ディスプレイと120Hzのリフレッシュレートを搭載し、3Dアイトラッキング機能によりゲームの没入感を高める設計となっている。

プロセッサには、Intelの最新技術「Lunar Lake」シリーズに属するCore Ultra 7 258Vを採用し、グラフィックス性能はIntel Arc 140Vで強化されている。

メモリは32GBのLPDDR5X、バッテリー性能や高速充電機能などの仕様もハイエンド志向だが、AMDや他社の最新技術に比べて性能差が懸念される。OSはWindows 11またはLinuxディストリビューションを採用する見込みだが、対応次第で市場競争力に影響を及ぼす可能性がある。市販化の有無は未定だが、CES 2025での公開に注目が集まる。

Tencentの3D Oneに採用された「Lunar Lake」とは何か

Tencentの3D Oneには、Intelが開発中の「Lunar Lake」シリーズのCore Ultra 7 258Vが搭載されている。このプロセッサは、4つのLion Coveコアと4つのSkymontコアから構成され、最新のハイブリッドアーキテクチャを採用している。

特に、効率性と性能のバランスを重視した設計が特徴であり、ゲーミングデバイスにおける動作効率の向上を狙っている。さらに、内蔵GPUにはIntel Arc 140Vが採用され、Xe2-LPGアーキテクチャに基づく設計となっている点が注目される。

このCPUは、従来の「Meteor Lake」シリーズと比較してグラフィックス性能が大幅に向上しているが、AMDの「Strix Point」や「Strix Halo」に対しては依然として性能差があるとされる。一方で、Tencentが3D Oneで選択したのは、ゲーミングデバイスに特化したハードウェア要件を重視した結果と考えられる。

これは、長時間の使用に適したバッテリー効率や高速充電技術などと組み合わせることで、幅広いユーザー層にアピールする可能性が高い。

TencentがLunar Lakeを採用した背景には、Windows 11との高い互換性や、次世代ゲーム体験を追求する戦略があると推察される。この選択は、市場投入時の競争力に大きく影響を与える要素となるだろう。

3Dアイトラッキング技術がもたらす新たなゲーム体験

3D Oneの大きな特徴のひとつに、3Dアイトラッキング技術の採用が挙げられる。この技術は、ユーザーの視線をトラッキングし、それに応じた視覚体験を提供するものである。特に、対応するゲームにおいては、より直感的で没入感の高い操作が可能になる。これにより、ユーザーは画面上の対象物を視線だけで選択したり、視点の移動に応じたリアルタイムの画面変化を楽しむことができる。

アイトラッキング技術は、これまで高価格帯のVRヘッドセットや特定のモニターに限定されてきた。しかし、Tencentがこれを携帯型デバイスに導入したことで、より多くのユーザーがこの技術を体験できるようになる可能性がある。この技術が普及すれば、ゲームデザインそのものが進化し、新しいジャンルのゲームが誕生するきっかけとなるかもしれない。

ただし、技術の普及には課題もある。開発者がこの機能を活用するゲームをどれだけ迅速に提供できるかが鍵となる。また、視線トラッキングが高い精度で動作することがユーザー体験の質を左右する。Tencentがこの点をどのように克服するのかが注目される。

CES 2025での発表が期待される理由

Tencentの3D OneがCES 2025で発表される可能性が高い理由として、デバイスの性能や設計が市場の注目を集める要素を多く含んでいる点が挙げられる。11インチの大画面、2.5K解像度、120Hzリフレッシュレート、そしてLunar Lakeプロセッサなど、次世代デバイスとしての注目ポイントが多い。

CESは、テクノロジー分野の新製品や技術を披露する世界最大級のイベントであり、Tencentにとってこの場での発表は絶好のタイミングである。また、競合他社であるAMDやNVIDIAなどが発表する製品との比較により、市場でのポジショニングが明確になるというメリットもある。

Tencentがプロトタイプの段階でこれほどの性能を公開した背景には、市場の期待値を高め、消費者や投資家の関心を引きつける意図があると考えられる。CESでの発表が実現すれば、より詳細な情報や実際のデモが披露され、製品の完成度や方向性がさらに明確になるだろう。CES 2025は、3D Oneの未来を占う重要なイベントとなる可能性がある。