Googleが新たに投入したPixel 9 Pro Foldは、折りたたみ式スマートフォンの市場に挑む意欲的な製品である。Tensor G4チップセットや先進的なAI機能を搭載し、特に写真編集機能やカメラ性能で評価される一方、高額な価格設定や性能、バッテリー寿命に課題を抱えている。

外部ディスプレイの滑らかな操作性やカメラの「Made You Look」機能が魅力的だが、折り目が目立つ内部ディスプレイや、急速充電の遅さなどで競合他社製品との差が浮き彫りとなる。約20万円からという価格は手軽ではなく、同価格帯のSamsung Galaxy Z Fold6やHonor Magic V3との比較で明確な優位性を示せていない。

デザイン、性能、そしてバッテリーにおける改良が期待される中、このモデルが市場でどのような評価を受けるのか注目される。

高機能カメラと「Made You Look」機能の実力

Pixel 9 Pro Foldは、5つのカメラ構成を特徴としており、特に48MPのメインカメラが目を引く。これにより、昼夜を問わず鮮明な画像が撮影可能であり、AIによる画像処理技術がその魅力をさらに引き立てている。

「Made You Look」機能は、被写体の視線を自然にカメラへ向ける技術として、家族写真や集合写真での新たな活用方法を示している。一方、他社製品と比較すると、Pixel 9 Pro Foldのカメラ性能は高いものの、Samsung Galaxy Z Fold6やiPhone 15 Pro Maxのような自然な色味の再現や暗所撮影性能においてはやや劣るとの指摘もある。

このため、カメラ性能を重視するユーザー層に対して、いかに差別化を図るかが課題となるだろう。独自のAI機能がもたらす利便性は評価されるべきだが、使い勝手や精度に関してさらなる向上が求められている。

折りたたみディスプレイの課題と未来

Pixel 9 Pro Foldの特徴である8インチの折りたたみディスプレイは、広大な作業領域を提供するが、折り目の目立ちや視覚的な歪みが利用体験を損なう要因となっている。特に、動画視聴やドキュメント閲覧時にこの折り目が気になるというレビューも少なくない。

さらに、Galaxy Z Foldシリーズに比べてヒンジ部分の設計が洗練されておらず、長期使用による耐久性にも疑問の声が上がる。一方で、この課題を解決する技術的進化の可能性は十分に残されている。SamsungやHonorなどがヒンジの改良を重ねる中、Googleが次世代モデルで同様の改良を実現すれば、市場競争力を高める一手となるだろう。

折りたたみ式スマートフォンの未来を見据える上で、ユーザー体験を損なわないデザインと耐久性の両立がカギを握る。

価格設定と競争環境が示す現実

Pixel 9 Pro Foldの価格は256GBモデルで約20万円、512GBモデルで約21万円と、折りたたみスマートフォンとしても高額な部類に入る。この価格帯には、Galaxy Z Fold6やHonor Magic V3など強力な競合製品がひしめいており、性能や利便性での明確な優位性を示せない現状では、消費者の購買意欲を掻き立てるのは難しい。

Googleが提供する独自のソフトウェアエコシステムやAI技術は一定の魅力があるものの、価格に見合う付加価値を求める声が高まっている。同価格帯の他製品がバッテリー性能や耐久性で優れる中、Pixel 9 Pro Foldの魅力をどのように訴求するかが今後の課題だろう。こうした背景から、Googleが次世代モデルで価格戦略をどのように見直すのか注目される。