近年、Appleは毎年4つのiPhoneモデルを投入しているが、新しい調査で最も人気のあるモデルが明らかになった。CIRPの報告によると、通常モデルが全体の約45%を占め、他のモデルを大きく引き離している。その理由は価格の手頃さに加え、明るいカラーバリエーションが個性を重視する層に支持されているためだ。
一方、iPhone Pro Maxは高価格帯ながら約25%のシェアを獲得し、最大ディスプレイと「最高のiPhone」という認識で支持されている。iPhone Plusは販売シェアが低いものの、廃止されたミニモデルよりも健闘している。
2025年には新モデル「iPhone Air」が登場するとされ、さらに薄型化されたデザインが注目を集める見込みだが、通常モデルの牙城を崩せるかは不透明である。
通常モデルが人気を集める背景にある価格戦略とデザインの影響
CIRPのレポートによると、通常モデルのiPhoneが販売台数の約45%を占めており、その人気は価格の手頃さとデザインの多様性に起因している。通常モデルはiPhone Pro Maxより約400ドル、iPhone Proより約200ドル安価である。この価格差が、広範な消費者層に訴求する主要な要因となっている。高機能を求めない層にとって、基本性能が十分でありながら価格が抑えられていることが魅力である。
また、通常モデルは明るく鮮やかなカラーバリエーションを展開しており、個性を表現したい消費者の需要を満たしている。一方で、iPhone Proシリーズは控えめでシンプルな色合いを採用しており、これが一部の消費者には「地味」と感じられることもある。デザインと価格戦略の相乗効果が、通常モデルの売上を押し上げていると考えられる。
さらに、価格差以上に注目すべきは、Proモデルが提供する追加機能が必須と感じられない点である。強化されたチップやプロ仕様のカメラ機能が導入されているものの、日常利用ではその恩恵を実感しづらいことがある。このギャップが、通常モデルの人気を裏付けていると言えよう。
Pro Maxが特定層から支持される理由と大型化のトレンド
Pro MaxモデルはiPhoneシリーズの中で最も高価なラインナップでありながら、約25%の販売シェアを誇る。その理由は、最大ディスプレイと「最高のiPhone」を求める消費者心理にあるとされる。特に、動画視聴やゲームを重視するユーザーにとって、大型ディスプレイと高性能なスペックは他に代えがたい魅力を持つ。
また、Pro Maxモデルの購入層は多くの場合、最新技術への関心が高く、価格に対する感度が低いと考えられる。こうした層は、購入の際に「その年の最高モデル」という明確な基準を持つ傾向があり、性能やステータス性を重視する。これにより、Pro Maxが小型のiPhone Proを上回る販売成績を維持しているのであろう。
しかし、このトレンドには限界もある。Pro Maxは性能を重視するがゆえに価格が上昇しており、そのコストが一部の潜在的な購入者を遠ざけている可能性がある。さらに、現在の大型化のトレンドが進む中で、消費者がどの程度までサイズアップを受け入れるかは慎重に見極める必要があるだろう。
iPhone Airが描く未来と新たな市場の可能性
2025年に登場が予想される「iPhone Air」は、シリーズで最薄のiPhoneとして注目を集めるとされる。Appleが初めて導入するこのモデルは、現行のiPhone Plusを置き換える形で展開される可能性がある。薄型化によりデザイン性を強化する一方で、カメラ性能やチップセットが他のモデルより簡略化されると予想されている。
このような特徴は、軽量で持ち運びやすいスマートフォンを求める層にアピールする可能性がある。しかし、iPhone Airの市場シェアがどの程度拡大するかは不透明である。薄型化が必ずしも全ての消費者に歓迎されるわけではなく、性能や耐久性の面で妥協を嫌う層がPro Maxなどの既存モデルを選び続ける可能性があるからだ。
さらに、iPhone AirがiPhone Plusを上回る市場シェアを確保できるかどうかも注目ポイントである。CIRPの過去データでは、iPhone PlusがiPhone 12 miniを上回る売上を記録しているが、それでもシリーズ内では比較的シェアが低い。Airの登場によって、シリーズ全体のバランスがどのように変化するかが、今後のApple戦略の成否を分ける鍵となるだろう。