Intelは次世代GPU「Xe3」のテストを開始し、新たなアーキテクチャ「Xe3p」の存在が確認された。これにより、統合GPUの進化が一歩先に進んだ形だ。テスト中の「Panther Lake」CPU向けGPUは32コア仕様で、従来の「Arrow Lake-S」プラットフォームとほぼ同等の性能を示している。
新たなアーキテクチャ「Xe3p」はさらなる性能向上が期待され、「p」は「プラス」を意味する可能性がある。これは低消費電力デザインに特化した改良を示唆しており、AMDやNVIDIAとの競争を背景に進化を遂げると見られる。Intelがグラフィックス分野で次に何を打ち出すのか、業界の注目が集まる。
Panther Lakeに搭載される新GPUの実力とは
Intelが現在テストを進めているPanther Lake向けGPU「Xe3」は、統合型グラフィックスの新たな基準を築く可能性がある。このGPUは32コア構成で、従来のArrow Lake-Sプラットフォームと同等の性能を持つことがSiSoftwareのベンチマークで確認されている。
特にGPUクロックは1.6GHzに設定されており、統計分析の結果、25Wの低消費電力環境下でも優れたパフォーマンスを発揮していることが示唆されている。
この性能は、統合型グラフィックスとしては飛躍的な進化を遂げているといえる。ただし、従来のArrow Lake-Hが8コア構成であるのに対し、Panther Lakeの32コアは4つのXe3コアを意味する可能性が高く、単純な比較はできない。だが、同等のスコアを達成している点は、Intelの技術力の高さを物語っている。これにより、ノートPCや省電力デバイスにおけるグラフィックス性能の底上げが期待される。
この進化が、次世代CPU市場でどのような影響を与えるのか。AMDやNVIDIAといった競合の動向と合わせて注目されるところである。
Xe3pアーキテクチャの秘密に迫る
Intel従業員のプロファイルから明らかになった「Xe3p」という新しいアーキテクチャの存在は、業界の注目を集めている。「p」が「プラス」を意味すると推測されているが、これは既存のXe-LPG+の命名規則を踏襲するものと考えられる。
この「プラス」が具体的に何を意味するかは明らかではないが、XMXコアの再導入や微細な設計変更などが示唆される。特にXMXコアは、機械学習やAIタスクにおいて優れた性能を発揮することで知られている。
また、プロジェクトに関与した従業員の期間が約1年10カ月に限られることから、設計が既に完了しているのか、それとも進行中なのかは明確ではない。ただ、来年展開予定とされるArrow Lake-Hシリーズで採用される可能性が高く、Intelが新アーキテクチャの開発を継続的に進めていることは確かである。
Intelがこの新アーキテクチャで競合他社との差別化を図るには、単なる性能向上だけでなく、エネルギー効率やコストパフォーマンスといった市場が求めるニーズをどれだけ満たせるかが鍵となるだろう。
グラフィックス分野で競争が激化する背景
Intelがグラフィックス分野で開発を加速させる背景には、競合他社の攻勢がある。AMDは統合GPUの設計において大きな進展を遂げ、NVIDIAもノートPC向けSoCやAPU市場への参入が噂されている。これにより、Intelは市場競争力を維持するため、進化を続ける必要に迫られている。
特に注目すべきは、統合型グラフィックスの需要が拡大している点である。これはノートPCやモバイルデバイス市場の成長に起因するものだ。高性能ながら省電力を実現する製品が求められる中、Intelの新アーキテクチャ「Xe3」および「Xe3p」が競争の主戦場となる可能性が高い。
しかし、Intelが持つ強みは独自の製造技術にある。自社で設計から製造までを手掛ける体制は、競合他社に対して優位性を持つ。一方で、NVIDIAやAMDのような外部ファウンドリを利用する企業は柔軟性に富むため、競争環境がさらに激化する可能性も否定できない。Intelがどのような戦略で市場を切り開くのか、これからの展開が注目される。