AMDは2025年に向け、ノートPC向けに刷新されたAPUと新たなGPUラインナップを投入する計画である。Ryzen AI 300シリーズや8040シリーズの一部にはリフレッシュやリブランドが多い一方、最新の「Strix Halo」や「Fire Range」といったハイパフォーマンスなチップが注目される。
また、次世代のRDNA 4ディスクリートGPU「R25M」シリーズも登場し、従来のRX 7000Mを置き換える見込みだ。新しいStrix Haloは、最上位モデルで16のZen 5コアと40のRDNA 3.5 CUを搭載し、ゲーミングやAI処理において競争力を高める設計となっている。
さらに、GPUは最大256ビットメモリバスと16GB VRAMを備え、NvidiaのRTX 4050などに対抗可能とされる。AMDが次世代ノートPC市場で勢いを増すかどうか、その成否はメーカーとの連携にかかっている。
AMDが打ち出す「Fire Range」シリーズの革新性と可能性
「Fire Range」は、Ryzen 9000シリーズのノートPC版として設計されており、AMDの最新技術を集約したハイエンドモデルである。このチップにはデスクトップ用に採用されているチップレット構造が踏襲されており、パフォーマンスと効率の両立を目指す設計がなされている。
3D V-Cacheを搭載したバリアントも含まれているため、キャッシュ量を増やすことでゲームやマルチタスクにおける処理能力が飛躍的に向上する可能性がある。現行のDragon Rangeと似たアーキテクチャを引き継ぎつつも、パッケージの小型化やクロック制限の調整によって、よりモバイル環境に適した省電力性も重視されている。
さらに、Fire Rangeシリーズが市場に投入されることで、従来のノートPC用CPUを超えるゲーミング性能を期待できる。これは、AMDがデスクトップ向けCPUとノートPC向けCPUの間で技術の統一を進めていることを示しており、PCゲーミングの環境が一層進化する契機ともなり得る。
ただし、こうした革新的な技術がユーザーにどのように評価されるかは、今後の実際のパフォーマンスや価格設定によっても左右されるため、確定的な評価は困難である。
Strix Haloの登場でモバイルGPU市場に挑戦状
ノートPC向けAPU「Strix Halo」は、特に高性能ゲーミング用途に特化しており、最上位モデルでは16のZen 5コアと40のRDNA 3.5 CUを搭載する。このモデルは「Ryzen AI Max」とも称され、AI処理や高負荷な計算を必要とする用途でも活躍が期待されている。
特に、これまでのAMDのノートPC向けチップでは見られなかったレベルの性能を実現しており、ノートPC用CPUとして一線を画す製品となる可能性がある。一方、AMDがStrix Haloの市場投入によって直面する課題は、IntelやNvidiaといった競合他社との競争である。
NvidiaのRTXシリーズやIntelの高性能CPUに比肩するか、それ以上のパフォーマンスを発揮できるかは未知数であるが、RDNA 3.5アーキテクチャの採用により、グラフィックス性能と処理速度で先行する可能性がある。
PC Gamerによると、AMDは新しいRadeonブランド名「8060S」や「8050S」を導入し、ネーミングでも変革を図っている。こうした名称の変更は、AMDがモバイル市場でさらなる認知向上を図るための戦略とも考えられる。
次世代RDNA 4モバイルGPU「R25M」が示す新たな方向性
AMDはノートPC向けディスクリートGPUとして、RDNA 4アーキテクチャに基づく「R25M」シリーズを発表する見通しである。これにより、従来のRX 7000Mシリーズに代わり、最低スペックのモデルでも128ビットメモリバスと8GB VRAMを備え、さらなる高性能化を図ることになる。
このラインナップの最上位モデルでは、256ビットメモリバスと16GBのVRAMを提供し、最大175Wの電力を消費する設計となっている。NvidiaのRTX 4050が96ビットメモリバスと6GB VRAMであることを考えると、R25Mはその性能を凌駕する可能性がある。
しかし、これらのRDNA 4ベースのGPUが実際にどのような性能を発揮し、PC市場においてどれだけのシェアを獲得できるかは、メーカーとの連携に依存している。PC Gamerによると、現状、IntelとNvidiaを採用したノートPCが多数を占めているため、AMDがさらなるシェア拡大を図るには、エコシステム全体の拡充が必要とされるであろう。