AMDの最新CPU「Ryzen 9800X3D」が、液体窒素冷却によるオーバークロックで6.9GHzに到達し、FPSゲームで圧倒的な性能を発揮した。Counter-Strike 2では1080p解像度の最大設定で1,262.9fps、Valorantでは最高1,500fps以上を記録。

これまでオーバークロック不可だったX3Dシリーズにおいて、初めてクロックスピードが解放されたことは特筆に値する。さらに、消費電力を100W程度に抑えつつIntel Core i9-14900Kに迫るフレームレートを実現しており、電力効率の点で優位性を見せつけた。

AMD初のX3Dオーバークロック対応CPUがもたらす新たな可能性

Ryzen 9800X3Dは、これまでのX3Dシリーズとは一線を画し、オーバークロックが解禁された初の3D V-Cache搭載CPUである。このアンロックされた設計は、オーバークロッカーたちがクロックスピードを限界まで引き上げることを可能にし、Ryzen 9800X3Dが6.9GHzという驚異的なスピードに到達した。

Asus ChinaのTony Yu氏がBilibiliに投稿したテスト結果によると、液体窒素冷却を使用することで、9800X3Dは極限までクロックを増大させ、安定した動作を実現した。オーバークロック愛好者にとっては、単なる速度だけでなく安定性も重要な要素であり、このCPUの性能はその期待に応えたものといえる。

これまでのX3Dチップは、3D V-Cache技術の制約からオーバークロックが制限されていた。しかし、AMDは今回、キャッシュの配置や冷却効率の向上を図り、オーバークロックに耐えうる設計を実現した。今後、9800X3Dの解禁によって、特に高性能を求めるユーザーにとってX3Dシリーズの価値が一層高まる可能性がある。

Intelとの消費電力比較が示す効率の違い

Ryzen 9800X3Dは、わずか100W程度の消費電力で1,260fps以上を実現し、Intel Core i9-14900Kに対抗する高性能を発揮した。これは、特に省エネルギーが重視される現代において重要なポイントである。Wccftechの報告によると、Intelのi9-14900Kは最高8GHzで動作しつつも、最大で360W近くの電力を消費する。

高性能を維持しつつも消費電力が低く抑えられている点で、AMDの9800X3Dは効率の面で非常に優れている。省エネと高性能を両立させるための新しいアーキテクチャや、3D V-Cache技術の改良がこの効率を支えている。

Intelは最高速度で性能を引き出すアプローチに傾倒している一方、AMDは省エネルギーと性能のバランスを取った設計を目指しており、今後、より環境に配慮したプロセッサ開発が期待される。

AMDとIntelの競争がもたらすゲーミング環境の未来

Counter-Strike 2やValorantで1,200fpsを超えるフレームレートを実現した9800X3Dの性能は、eスポーツの世界におけるゲーム体験を一変させる可能性がある。FPSや反応速度が勝敗を左右するプロゲーマーにとって、高フレームレートは一瞬の判断を可能にし、性能面でのアドバンテージを提供する。

現時点でi9-14900Kがわずかにリードするとはいえ、電力効率や安定性で優れた9800X3Dも魅力的な選択肢である。さらに、エキゾチックなオーバークロックだけでなく、強力な空冷や液冷による通常のオーバークロックでも高いパフォーマンスを引き出せると考えられている。

今後、AMDとIntelの競争はゲーミング市場を一層活性化させ、より多くのユーザーが恩恵を受けることが予想される。