MicrosoftがWindows 11 24H2をリリースして以来、特にARMベースのPCにおいてプリンターとの互換性問題が多発していることが判明した。HPやCanon、Brotherなどの主要メーカーのプリンターが、最新バージョンにアップグレードした後、ドライバーのインストールがうまくいかず利用不可になるケースが報告されている。

これらの問題に対し、Microsoftは特定の手順での回避方法を公開し、設定メニューからの手動追加やUSB接続を推奨している。一部の機能が正常に動作しない問題もあり、テクノロジー愛好家にとって不安が広がる中、ARM以外のAMDやIntelデバイスでも小規模な不具合が確認されつつある。

ARMデバイス特有のプリンター不具合が引き起こす混乱と影響

Microsoftが公開したサポート情報によれば、Windows 11 24H2のARMデバイス上でのプリンター問題は特に深刻である。Mopria標準に対応していることを謳っていたものの、実際には複数のユーザーから、HP、Canon、Brotherといった主要プリンターメーカーのドライバーインストールや使用が難航する報告が続出している。

具体的には、ドライバーのインストールが進まず、プリンターがシステム上に認識されない現象が発生しており、これにより日常の印刷作業や業務が滞る事態に陥るユーザーも少なくない。

Microsoftのサポート記事では、この問題の解決策として設定画面からのプリンターの手動追加やUSB接続が推奨されている。しかしながら、これらの方法を試しても解決しない場合があり、またドライバーの安定性も完全に保証されていない現状が浮き彫りとなっている。

さらに、この問題は単にプリンターのインストールができない点にとどまらず、ARMデバイスにおけるWindowsの互換性やパフォーマンスの限界を示しているといえる。新しいプラットフォームに対応する過程での試行錯誤は避けられないとしても、Microsoftの事前検証が不十分だった可能性が指摘されている。

AMDおよびIntelデバイスにも波及するWindows 11 24H2の問題

Windows 11 24H2におけるプリンター不具合は、ARMデバイスに限らず、AMDやIntelのプラットフォームにも影響を及ぼしていることが確認されている。Neowinの報道によれば、ARMほど顕著ではないものの、プリンター共有のバグ、印刷リクエストがキューに留まる現象、さらにはデバイス自体がシステムから消えるといったトラブルが発生している。

このため、家庭やオフィスで複数台のデバイスとプリンターを連携させているユーザーにとっては、深刻な操作性の低下を招くリスクがある。

ARMにおける問題と同様に、これらのIntelやAMDユーザーもまた設定画面での手動操作を求められているが、根本的な解決策が提示されているわけではない。

Microsoftが当初の予告どおりに「広範なプリンター互換性」を提供できなかった背景には、Windowsの最新バージョンにおける印刷環境への対応が追いついていないことがあると考えられる。Windows 11のARMおよびx86アーキテクチャ間の互換性を引き続き強化することが、今後の課題となるだろう。

Windows 11とプリンター問題から見るARMデバイスの課題と未来

ARMデバイス向けのWindows 11は、高性能と省電力を両立するプラットフォームとして期待されているが、今回の不具合により、対応するデバイスが増えるに連れ新たな課題が浮かび上がっている。

ARMベースのプロセッサは、スマートフォンやタブレットで成功を収めている一方、PC市場ではその特性を十分に活かしきれていないとの声もある。特に、プリンターのように外部デバイスとの互換性が求められるシーンで、互換性の問題が表面化していることはMicrosoftにとって大きな痛手である。

Microsoftが掲げるARMデバイスの可能性とエコシステムの拡充には、多様な周辺機器のサポートが不可欠だ。今回のトラブルは、同社の次世代プラットフォームが抱える互換性の限界を示唆しており、今後の技術革新とドライバーサポートの強化が鍵を握ることになるだろう。

今後、Microsoftがどのようにしてこの状況に対応し、特にビジネス向けデバイスとしての信頼性を構築していくかは、テクノロジーの進化を見守る上で注目すべきポイントである。