IntelとAMDが、新しい12V-2×6電源ケーブルのテストを開始した可能性が浮上している。これにより、Nvidiaがすでに採用している新しい電源規格が、グラフィックカード市場全体に広がる可能性が出てきた。

NvidiaのRTX 4090では12VHPWR規格でのトラブルが報告されたが、12V-2×6では安全性が向上しているとされる。今後の展開により、各社の電源設計がどのように変化するかが注目される。

Nvidiaのリード:12V-2×6規格への早期移行

Nvidiaは、新しい12V-2×6電源ケーブル規格の導入において市場をリードしている。同社の最新のRTX 4000シリーズに加え、今後のRTX 5000シリーズにもこの新規格が採用される予定だ。これは、従来の12VHPWR規格に代わる形で登場したものであり、特にRTX 4090において報告されたケーブルの発熱や溶解といったトラブルを回避するための改良が施されている。

12VHPWR規格は、Nvidiaのフラッグシップモデルにおいて一部のユーザーによる接続不良や過度な発熱が問題となったが、12V-2×6ではそのようなトラブルは報告されていない。第三者のテストでも、この新しい規格は安全性が確認されており、ケーブルが部分的に外れている場合でも信頼性を維持することができるとされている。さらに、この新規格は従来よりも高いワット数を供給できるため、より高性能なGPUに対応することが可能である。

市場では、2025年1月に開催されるCESでNvidiaが新たなRTX 5090および5080を発表すると予想されており、これらのモデルには12V-2×6規格が採用される見込みである。こうした動向からも、Nvidiaが次世代電源ケーブル規格の普及を先導していることが伺える。

AMDとIntelの現状:従来の電源規格を継続使用

Nvidiaが12V-2×6への移行を進める中、AMDとIntelは従来の8ピン電源ケーブルを引き続き採用している。AMDのRadeon RX 7000シリーズやIntelのArc Alchemistシリーズでは、現在のところ8ピンの規格が主流となっており、特に大きなトラブルも報告されていない。このため、現段階では新規格への即時移行は見送られているようだ。

しかし、AMDは以前から12V電源規格への移行を検討しており、今回のテスト結果もその一環であると考えられる。報道によれば、12V-2×6は従来の12VHPWRに比べて安全性が高く、特に300W以下の電力供給においては、従来の8ピン規格と比較して大きな利点があるわけではないという見解もある。このため、AMDとIntelは新たな規格を採用するかどうかについて、依然として慎重な姿勢を崩していない。

今後の展開としては、電源供給メーカーが8ピン規格を廃止するかどうかが一つの転機となるだろう。もしそうなれば、AMDやIntelも12V-2×6規格への移行を余儀なくされる可能性がある。また、各メーカーのボードパートナーが、12V-2×6規格に対応したオプションを提供するかどうかも注目されるポイントである。

12VHPWRから12V-2×6への進化:信頼性と安全性

12V-2×6規格は、NvidiaのRTX 4090で導入された12VHPWR規格に取って代わる形で登場した。12VHPWRは高い電力供給能力を持つが、その一方でユーザーの接続ミスや過剰な発熱により、ケーブルが焼損する事故が多数報告されていた。特に、4090ユーザーの間では数百件もの修理が必要となる事例が毎月発生し、これが同規格の信頼性に大きな影を落としていた。

12V-2×6規格は、このような問題を解決するために設計されており、より高いワット数を安全に供給できるとされている。第三者機関によるテストでも、この新しい規格が部分的に接続不良が発生しても安全に作動することが確認されている。これは特にハイエンドGPUにおいて重要な特性であり、長時間の使用でも安定した電力供給を実現する。

さらに、12V-2×6は従来の8ピン規格と比べても、小型化が進んでおり、よりコンパクトな設計が可能になる。これにより、次世代GPUにおいてもさらなる高性能化が期待される。特にNvidiaの次期RTX 5000シリーズでは、600Wを超える消費電力が予想されており、この新規格の採用が不可欠となる見込みである。

2025年CESでの新製品発表の可能性

2025年1月に開催されるCESでは、Nvidia、AMD、Intelの各社が次世代GPUを発表すると予想されている。Nvidiaは、RTX 5090および5080の発表が期待されており、これらのモデルはすでに12V-2×6規格を採用するとみられている。特に、RTX 5090では600Wの総消費電力が予想されており、現行の電源ケーブルでは対応が難しいため、12V-2×6の採用が確実視されている。

一方、AMDとIntelも次世代GPUの発表を予定しているが、これらは主にミドルレンジの製品になると予測されている。AMDの次世代RDNA 4(RX 8000シリーズ)や、IntelのArc Battlemageシリーズは、300W以下の消費電力に収まるため、従来の8ピン規格を維持する可能性が高い。

しかし、電源供給メーカーの動向次第では、12V-2×6規格への移行が強制されるシナリオも考えられる。特に、PC市場において新しい規格が一般化すれば、AMDやIntelもそれに対応せざるを得ないだろう。CES 2025は、次世代GPUの技術的な方向性を示す重要なイベントとなることが予想される。