Intelは、Arrow Lakeアーキテクチャに最適化された「Extreme Tuning Utility(XTU)」のバージョン10をリリースした。これにより、14世代以前のプロセッサ向けのサポートは分離され、XTUのバージョン10はCore Ultra 200シリーズ専用となる。

XTUバージョン10は、デュアルベースクロックやSAファブリックコントロールなど、新たなオーバークロック機能を搭載しており、より細かいコアクロックの調整が可能になった。また、電圧管理にも改良が加えられ、オーバークロックをさらに効率化している。

Arrow Lake向けに特化したXTUバージョン10の新機能

Intelは、最新のArrow Lakeアーキテクチャ向けに「Extreme Tuning Utility(XTU)」のバージョン10を発表した。このバージョン10は、Intelの新しいCore Ultra 200シリーズプロセッサ専用に設計されており、従来の14世代以前のプロセッサとのサポートが完全に分離されている。XTUのバージョン10は、オーバークロックやシステムモニタリングに関連する多数の新機能を提供し、特に新しいArrow Lakeアーキテクチャを最大限に活用できるように最適化されている。

バージョン10では、従来のXTUバージョン7.14.2.14が14世代およびそれ以前のCPUに対応している一方で、新しいArrow Lakeアーキテクチャ専用のバージョン10.0.0.76が提供されている。このアップデートは、特にIntelの最新オーバークロック機能に対応し、これまでにない高いレベルのカスタマイズ性を提供する。XTUは今後、Arrow Lakeシリーズにおいてさらなるパフォーマンス向上を図るための重要なツールとなるだろう。

デュアルベースクロックとSAファブリックコントロールの導入

XTUバージョン10における最大の革新の一つは、デュアルベースクロック機能の導入である。この新機能は、システムオンチップ(SoC)とコンピュートタイルの両方でリファレンスクロックを個別に制御できるように設計されており、ユーザーはこれを活用してプロセッサの動作をさらに詳細に調整できる。これにより、従来以上に柔軟なオーバークロックが可能となり、パフォーマンスの向上が期待される。

さらに、SAファブリックコントロールも追加されており、Arrow LakeアーキテクチャにおけるCPUタイルのファブリック周波数を調整することができるようになっている。この機能は、AMDのInfinity Fabricに類似しており、レイテンシの削減を通じてシステム全体のパフォーマンスを向上させる。また、これにより、システム全体の動作をより効率的に管理することが可能となり、特にハイエンドユーザーやオーバークロック愛好家にとって魅力的な機能と言えるだろう。

グラニュラ・コアクロックとリアルタイムメモリタイミング制御

XTUバージョン10では、コアクロックの調整がさらに精密になった。Arrow Lakeの新しい「グラニュラ・コアクロック」機能により、両タイプのコアについてクロック周波数を16.6MHz単位で調整できるようになった。この微細な調整は、特にマルチタスク環境や高度なプロセッシングにおいて、プロセッサ性能を最適化するために役立つ。

また、リアルタイムでメモリタイミングを変更する機能も新たに追加された。この機能により、従来のBIOS設定を経ることなく、OS上で直接メモリタイミングの調整が可能となっている。これにより、システム全体のパフォーマンスをリアルタイムで最適化できる点が大きな特徴だ。これらの新機能は、プロフェッショナルなオーバークロッカーやゲーマーにとって大きな魅力であり、さらなる性能向上を目指すユーザーには非常に有用なツールとなるだろう。

XTUバージョン10における電圧管理とオーバークロックの新展開

XTUバージョン10では、電圧管理に関する大幅な改良も行われている。新しいバージョンでは、最大電圧が統合されており、「デフォルト」電圧設定は廃止された。この変更により、電圧オーバーライドのすべてのコントロールが実際の値を反映するようになり、システム起動時でも正確な電圧が表示されるようになっている。

さらに、XTUバージョン10ではEコアのオーバークロックがTurbo Velocity Boostを通じて可能となり、コアパーキングコントロールも追加された。これにより、オーバークロックの柔軟性がさらに向上し、システム全体のチューニングがより直感的かつ効率的に行えるようになった。これらの改善により、特にハイエンドのオーバークロッカーやエンスージアスト向けのプロセッサを使用しているユーザーにとって、より強力なオーバークロック環境が提供されている。