AMD Ryzen 7 5800X3Dは、登場から2年以上経過しているものの、最新のプロセッサーと肩を並べる性能を持つ。対するRyzen 7 9700Xは、最新のゼン5アーキテクチャとDDR5メモリを採用し、わずか6%の性能向上にとどまる。
この比較では、Windows 11の最新アップデート24H2のもとで、これらのCPUが22の人気ゲームにおいてどのように性能を発揮したかを詳細に分析している。
Windows 11 24H2アップデートがもたらす影響
Windows 11の24H2アップデートは、ゲーム性能に大きな影響を与える要素として注目されている。このレビューでも、Ryzen 7 5800X3Dと9700Xの両方において、24H2アップデートがどのようなパフォーマンス向上をもたらすかが検証されている。
まず、23H2パッチと24H2バージョンの両方でテストが実施されており、結果として、特定のゲームでは最大9%の性能向上が確認されている。特にCPU負荷の高いゲームにおいて、このアップデートはフレームレートの向上や動作の安定化に寄与している。
一方で、Ryzen 7 9700Xのような最新のプロセッサーにおいても、劇的な性能向上は見られなかった。これは、ゼン5アーキテクチャ自体が大幅な改善を伴っていないためであり、24H2が必ずしも全てのタイトルで優位性を示すわけではないことを裏付けている。
ゲームごとの性能比較:5800X3Dと9700X
Ryzen 7 5800X3Dと9700Xは、特定のゲームにおいて異なるパフォーマンスを発揮する。5800X3Dは古いプロセッサーであるにもかかわらず、特定のゲームでは依然として強力な競争力を持っている。
例えば、Spider-Man Remasteredでは5800X3Dが9700Xを13%上回るフレームレートを記録しており、特に高リフレッシュレートのディスプレイを使用するユーザーにとっては明確な差となる。しかし、9700Xは他のゲーム、特にWarhammer 40,000: Space Marine 2やHogwarts LegacyといったCPU依存の強いタイトルで優位性を発揮しており、最大で14%の差をつけている。
このように、各ゲームタイトルの要求するリソースやメモリの使用状況によって、どちらのCPUが優れているかは変動する。
DDR5メモリがもたらすパフォーマンスの違い
Ryzen 7 9700XはDDR5メモリを活用しているが、5800X3DはDDR4メモリを採用している。このメモリの世代の違いが、特にゲームパフォーマンスにおいて重要な要素となっている。
最新のDDR5メモリは、DDR4よりも高速なデータ転送速度を提供し、特にCPUとメモリ間の帯域幅が重要となるゲームでその違いが顕著である。例えば、Hogwarts Legacyでは、DDR5メモリを搭載した9700Xが5800X3Dに対して14%の性能向上を見せている。これは、より高速なメモリアクセスがフレームレートの向上に直接つながっていることを示している。
一方で、5800X3Dの3D V-Cache技術は、一部のキャッシュ依存の強いゲームでは依然として強力な武器となっており、Spider-Man Remasteredでは9700Xを13%上回る結果を出している。
ゼン5世代の期待と現実
ゼン5世代のRyzen 7 9700Xは、AMDの最新アーキテクチャとして登場したが、そのパフォーマンスは期待されたほど劇的なものではなかった。特にゲーミング用途において、旧世代の5800X3Dとの差は非常に僅かであり、6%程度の差にとどまっている。
ゼン5は、最新の技術を取り入れ、改善されたブランチ予測や新しいメモリ規格に対応しているが、その実際の効果は限られている。Gears 5やRainbow Six Siegeなど、いくつかのゲームでは10%以上の性能差が見られるが、全体的にはこの差は小さく、期待されていたほどの大幅な進化とは言い難い。
今後の3D V-Cacheモデルの登場がこの状況を変える可能性はあるが、現段階では、ゼン5の性能向上は思ったほど大きなインパクトを与えていない。