MWC 2025でSamsung Displayが発表した「Flexible Briefcase」は、折りたたみ可能な18.1インチQD-OLEDディスプレイを搭載し、使用しないときはブリーフケースとして持ち運べる画期的なデザインを採用している。

中央でハンドルが合わさる構造や、側面に統合された電源・音量ボタンなど、細部にまでこだわったデザインが特徴。ノートPCとして使用する際にはQHD+解像度の鮮明なディスプレイを展開でき、4.5Rの折りたたみ半径により耐久性も確保されている。

このコンセプトはサムスンが以前から研究していた折りたたみ技術の進化形とされ、市販化の可能性も期待されるが、現時点では試作段階にとどまる。他社のユニークな試作機と比較しても独自性が際立つデザインであり、今後の動向に注目が集まる。

折りたたみ式ノートPCの新境地 ブリーフケース型デザインの可能性

Samsung DisplayがMWC 2025で発表した「Flexible Briefcase」は、折りたたみ式ノートPCの新たな形を提示した。従来の折りたたみ式ディスプレイを搭載したノートPCは、画面の拡張性やコンパクトな収納を主眼に置いていたが、本機は「ブリーフケースとして持ち運ぶ」という斬新なコンセプトを採用している。

18.1インチのQD-OLEDディスプレイは、QHD+解像度(2,000×2,664ピクセル)を備え、画素密度は184 PPI。中央でハンドルが合わさる独自の設計により、ノートPCがそのままブリーフケースとして機能する。側面には電源・音量ボタンが配置されており、持ち運び時の操作性も考慮されている。

これまでの折りたたみ式ノートPCは、タブレットのように二つ折りになるスタイルが主流だったが、本機は持ち運びの利便性とデザイン性をさらに向上させた試作機といえる。この形状が市販化されれば、仕事用デバイスとモバイルバッグを一体化できる革新的な製品となるかもしれない。

大画面×折りたたみのバランスは最適か QHD+解像度の実力

Flexible Briefcaseの18.1インチQD-OLEDディスプレイは、184 PPIの画素密度を実現している。これは十分にシャープな映像を提供するが、サムスンのGalaxy Book4 Ultraが搭載する212 PPIのディスプレイと比較すると、若干密度が低い。ただし、大型ディスプレイでは画面との距離が遠くなるため、実使用において大きな差は感じにくいと考えられる。

ディスプレイの折りたたみ半径は4.5Rで、これは画面の耐久性や折り目の目立ちにくさを考慮した設計といえる。従来の折りたたみスマートフォンと同様の技術が活用されている可能性が高く、サムスンのディスプレイ開発の蓄積が生かされていると考えられる。

画質の面では、QD-OLED特有の高コントラストや色鮮やかな表示が期待できる。ただし、長時間の使用時における目の負担や、折りたたみ耐久性に関する詳細は不明であり、実際の使用感は今後の検証が待たれる。実用化に向けて、折り目の耐久性や画面の光反射などの細かな調整が課題となる可能性もある。

実用化の壁と市場投入の可能性 他社の試作機と比較

サムスンは折りたたみ式ディスプレイの研究を長年続けており、2022年には「Flex Note」と呼ばれる試作機を発表していた。当時は二つ折りノートPCの形状だったが、「Flexible Briefcase」はそれを進化させ、持ち運びの利便性を高めたコンセプトとなっている。ただし、現時点では試作機にとどまり、市場投入は未定だ。

他社も折りたたみ式ノートPCの開発を進めており、例えばレノボはソーラーパネルを搭載した「Yoga Solar PCコンセプト」を発表した。20分の日光充電で1時間のビデオ再生が可能というユニークな仕様を持ち、環境意識の高いユーザー向けに注目されている。

折りたたみ技術を用いたノートPCは、技術的なハードルやコスト面の課題があり、コンセプトモデルとして発表されても、市販化には至らないケースが多い。しかし、Samsung Displayの技術力を考えれば、何らかの形で市場に投入される可能性は十分にある。仮に実用化されれば、新たなモバイルPCのスタイルを確立するかもしれない。

Source:Gizmochina