AMDは最新のミドルレンジGPU「Radeon RX 9070 XT」を正式に発表した。新アーキテクチャRDNA 4を採用し、4,096個のシェーディングユニットや16GB GDDR6メモリを搭載。ブーストクロックは最大3,100MHzに達し、4Kウルトラ設定で前世代比42%の性能向上を実現している。

Nvidia RTX 5070 Tiと比較すると、RX 9070 XTは性能面で競争力を持ちながらも150ドル安い599ドルという戦略的な価格を設定。供給問題の影響も少なく、従来の8ピン電源を採用することで安定した運用が可能だ。2025年3月6日の発売に向け、ミドルレンジGPU市場の競争が激化しそうだ。


AMD Radeon RX 9070 XTの性能詳細 RDNA 4で進化したスペック

Radeon RX 9070 XTは、AMDの最新アーキテクチャRDNA 4を採用し、大幅な性能向上を果たした。4,096個のシェーディングユニット、256個のテクスチャマッピングユニット、96個のレンダー出力ユニットを搭載。基本クロックは2,400MHz、ブーストクロックは最大3,100MHzに達し、前世代のRX 7900 GREと比較して4Kウルトラ設定で42%のパフォーマンス向上を実現している。

メモリには16GB GDDR6を採用し、256ビットのメモリバスと624.1GB/sの帯域幅を確保。これにより、高解像度ゲーミングやVR環境でも安定した描画が期待できる。ピクセルフィルレートは298GPixel/s、テクスチャフィルレートは794GTexel/sと、レンダリング処理の強化が図られている。

NvidiaのRTX 5070 Tiと比較すると、RX 9070 XTはGDDR7メモリを搭載するRTX 5070 Tiの896GB/sより帯域幅が低い。しかし、消費電力や発熱の面ではRX 9070 XTが有利となる可能性がある。これにより、電源設計や冷却環境を重視するユーザーにとっては魅力的な選択肢になり得る。

RTX 5070 Tiとの価格と性能差 AMDはコストパフォーマンスで勝負

Radeon RX 9070 XTの価格は599ドルに設定され、NvidiaのRTX 5070 Ti(749ドル)よりも150ドル安い。価格差を考慮すると、RX 9070 XTはコストパフォーマンスを重視するゲーマーにとって有力な選択肢となる。特に、4Kゲーミングにおいて前世代比42%の性能向上を実現した点は評価に値する。

一方、RTX 5070 TiはNvidiaの最新アーキテクチャ「Blackwell」を採用し、CUDAコア数は8,960とRX 9070 XTの4,096を大きく上回る。メモリもGDDR7を搭載し、メモリ帯域幅は896GB/sとRX 9070 XTを大きく引き離している。これにより、特にレイトレーシングやAI処理を多用するタイトルでは、RTX 5070 Tiが優位に立つ可能性がある。

しかし、RTX 5070 Tiは供給不足が続いており、実際の市場価格がMSRPを超えているケースもある。対してRX 9070 XTは入手しやすく、価格面で安定している点が強みとなる。性能とコストのバランスを考えた場合、多くのユーザーにとってRX 9070 XTが実用的な選択肢となるだろう。

AMDが採用した8ピン電源設計 Nvidiaの12VHPWR問題を回避

RX 9070 XTは、従来の8ピン電源コネクタを採用している。これに対し、RTX 5070 Tiは新型の12VHPWRコネクタを使用。Nvidiaの新電源規格は高出力を実現するが、過去のRTX 40シリーズで発熱やコネクタの溶解といった問題が報告されており、一部のユーザーから不安視されている。

8ピンコネクタは長年にわたり多くのGPUで使用されてきた実績があり、互換性や安定性の面で信頼性が高い。特に、既存の電源ユニットをそのまま使用できる点は、アップグレードを検討するユーザーにとって大きなメリットとなる。

一方で、12VHPWRコネクタは今後の主流となる可能性があり、Nvidiaはこの新規格を推進している。将来的な拡張性や新技術の適用を重視するならば、RTX 5070 Tiの選択肢も考慮すべきだ。しかし、安全性や利便性を優先するならば、RX 9070 XTの8ピン電源設計は安心できる要素となるだろう。


Source:TechStory