Windows 11の最新アップデート(バージョン24H2)で、ついに「sudo」コマンドが導入された。Linuxでは一般的なこの機能が、Windowsにも搭載されることで、管理者権限のコマンド実行が格段にスムーズになる。従来の「管理者として実行」を選択する手間が省け、PowerShellやコマンドプロンプトで「sudo」を付けるだけで、管理者権限の操作が可能になるのが特徴だ。

新機能の有効化は「設定」→「システム」→「開発者向け」から行え、実行方法は3種類用意されている。デフォルト設定では新しいウィンドウで実行されるが、Linuxに近い「インライン実行」も選択可能だ。

もし利用できない場合は、Windowsのバージョンを確認するか、代替ツール「gsudo」の導入も検討するとよい。この追加により、開発者や高度な操作を行うユーザーにとって、Windowsの使い勝手が大幅に向上することが期待される。

Windowsの「sudo」はLinuxのそれとどう違うのか

Windows 11のバージョン24H2で導入された「sudo」機能は、一見するとLinuxの「sudo」と同じように見えるが、技術的には異なる仕組みを持っている。Linuxの「sudo」は、特定のコマンドを管理者権限で実行するためのシンプルな仕組みであり、認証後に続けて複数のコマンドを実行できるのが特徴だ。

一方、Windowsの「sudo」は、あくまで管理者権限でコマンドを実行するためのショートカット的な役割にとどまり、Linuxのような高度なアクセス管理機能は持たない。特に大きな違いは、Linuxでは「sudo」を使うことで特定のユーザーに管理者権限を一時的に付与できるのに対し、Windowsの「sudo」は基本的に個々のコマンドごとに昇格を求める点にある。

また、Linuxの「sudo」は設定ファイル(sudoers)をカスタマイズすることで、ユーザーごとに細かい制御が可能だが、Windowsの「sudo」にはそのような機能はない。したがって、Linuxの「sudo」に慣れたユーザーにとっては、Windowsの「sudo」が簡素化されすぎていると感じるかもしれない。

とはいえ、Windowsでこの機能が正式に搭載されたことは大きな一歩であり、今後のアップデートでより柔軟な管理ができるようになる可能性はある。現時点では、Linuxの「sudo」とは別物として認識し、Windows特有の仕様に合わせた使い方をするのが賢明だろう。

開発者や上級ユーザーにとっての利便性と注意点

Windows 11に「sudo」機能が追加されたことで、開発者や高度な操作を行うユーザーにとって作業効率が向上することは間違いない。従来の方法では、管理者権限が必要なコマンドを実行するために、わざわざ管理者モードのPowerShellやコマンドプロンプトを開く手間があった。

しかし、新しい「sudo」を使えば、通常のウィンドウのまま簡単に昇格実行できるため、ワークフローがスムーズになる。特に、複数のツールを組み合わせて作業する場面では、この機能が大きく役立つだろう。

一方で、この機能にはいくつかの注意点もある。例えば、デフォルトの設定では「sudo」コマンドを実行すると新しいウィンドウが開く仕様になっているため、スクリプトやバッチ処理の流れが意図しない形で分断される可能性がある。これを避けるには、「インライン」オプションを有効にする必要があるが、この設定を使う場合はセキュリティリスクにも留意すべきだ。

また、「sudo」を使っても、一部のアプリケーションやスクリプトでは適切に管理者権限が適用されない場合がある。特に、Windowsのユーザーアカウント制御(UAC)との兼ね合いによって、コマンドが期待通りに動作しないことがあり得る。そのため、確実に管理者権限を適用したい場合は、従来の「管理者として実行」オプションを使用する方が安全な場面もあるだろう。

「gsudo」との違い、そしてどちらを使うべきか

「sudo」がWindowsに標準機能として追加されたとはいえ、従来からある「gsudo」というオープンソースツールも依然として有用な選択肢として残っている。両者の違いを理解し、適材適所で使い分けることが重要になる。

「gsudo」は、Windows向けに開発された高度な管理者権限昇格ツールであり、Linuxの「sudo」により近い動作をするのが特徴だ。特に、コマンド実行時に新しいウィンドウを開かず、現在のウィンドウのまま権限を昇格させる挙動は、Windows標準の「sudo」よりも柔軟性がある。

また、「gsudo」はパスワードを求めるオプションや、複数のコマンドを連続して管理者権限で実行する機能を備えており、スクリプトや自動化の場面でより便利に使える。では、どちらを使うべきなのか。シンプルに管理者権限を付与したい場合は、Windows標準の「sudo」が手軽で適している。

一方で、スクリプトやコマンドの連続実行、細かい権限管理を求める場合は、「gsudo」の方が適したツールになるだろう。特に、Windowsの「sudo」はまだ登場したばかりであり、機能面では制約が多い。今後のアップデート次第では標準の「sudo」だけで事足りるようになるかもしれないが、現時点では「gsudo」を選択肢に入れておくことが賢明だ。

Source:Lifehacker