AppleがiPhoneのディスプレイ供給元を見直す可能性が浮上している。 BOE(京東方科技集団)が提供するLTPS AMOLEDディスプレイの品質問題が原因とされ、出荷数が大幅に減少している。特に次期iPhone SE 4を含む新モデルの供給に影響を与える可能性が指摘されている。

BOEはAppleに対し、当初の計画で約4000万枚のディスプレイを供給予定だったが、2024年初頭から現在にかけてわずか700万~800万枚しか出荷できていない。この結果、AppleはBOEのディスプレイの多くをSamsung Displayに切り替えており、LG Displayも引き続きサプライチェーンの一部として関与している。

それにもかかわらず、BOEとLG Displayは次期iPhone SE 4のOLEDディスプレイ供給業者に選定されており、このモデルは6.1インチのAMOLEDディスプレイを搭載するとみられている。また、Appleが独自開発した5Gチップを初めて搭載する可能性が高く、デザイン面でも大きな変化が予想される。

BOEの品質問題がもたらす影響―Appleの供給戦略の変化

BOEはAppleの厳格な品質基準を満たせず、iPhone向けのディスプレイ供給において苦戦している。AppleはこれまでBOEに対して発注を行ってきたが、2024年初頭からの出荷数は計画のわずか20%程度にとどまっている。これにより、BOE製ディスプレイはSamsung Displayに置き換えられつつあり、LG Displayも引き続き供給を担っている。

この影響で、Appleはディスプレイの供給体制を柔軟に変更する必要に迫られている。特に、高品質なパネルを安定供給できるサプライヤーの選定が重要となり、Samsung Displayの依存度が高まる可能性がある。一方、LG DisplayはiPhone Proシリーズ向けのパネル供給を担当しており、今後もその役割を維持する見込みだ。

BOEにとってAppleとの取引は重要な収益源の一つであり、品質問題が続く場合、長期的な契約維持が難しくなる恐れがある。Appleが将来的にBOEの採用を見直すかどうかは不透明だが、品質基準を満たせなければ他のサプライヤーとの競争に勝つことは難しくなるだろう。

iPhone SE 4のディスプレイ選定に見るAppleの狙い

Appleは次期iPhone SE 4のディスプレイ供給業者としてBOEとLG Displayを選定している。この決定は、BOEの品質問題が指摘される中でも同社をサプライチェーンに残す判断を下したことを意味する。BOEは過去にもiPhone向けのディスプレイ供給で遅れや品質問題を抱えていたが、Appleは完全に切り捨てるのではなく、一部のモデルで採用を継続している。

iPhone SE 4は、6.1インチのAMOLEDディスプレイを搭載するとみられ、AppleがBOE製パネルを使用することでコスト削減を狙っている可能性がある。報道によれば、AppleはBOEのディスプレイ1枚あたり約25ドルを支払うとされており、Samsung DisplayやLG Displayよりも低コストでの供給が期待されている。

一方、BOEの品質が安定しない場合、Appleが今後のiPhone SEシリーズでディスプレイ供給元を再検討する可能性もある。現時点ではBOEが採用される方向にあるものの、長期的にAppleの基準を満たし続けられるかが今後の課題となるだろう。

Appleの自社開発5Gチップ搭載がiPhone SE 4の最大の注目点

iPhone SE 4は、Appleが自社開発した5Gチップを初めて搭載するモデルになると予想されている。これまでのiPhone SEシリーズはQualcomm製のモデムチップを採用していたが、Appleは独自の5G技術を開発し、将来的には外部依存を減らす狙いがあるとみられる。

Appleが自社製5Gチップを搭載することで、通信性能の最適化が期待される。自社設計のチップを活用することで、電力効率や通信速度の改善が可能となり、バッテリー持ちの向上にも貢献すると考えられる。特に、低価格帯のiPhone SEシリーズにおいて、電力効率の向上はユーザーにとって大きな利点となる。

しかし、自社製5Gチップがどの程度の完成度に達しているのかは不透明だ。Appleは長年にわたり5Gモデムの開発を進めてきたが、Qualcomm製チップと比較して同等のパフォーマンスを発揮できるのかは今後の検証が必要となる。iPhone SE 4の登場が、Appleの自社開発チップの実力を示す試金石となることは間違いない。

Source:Digital Trends