健康テクノロジー企業「Ultrahuman」が、CES 2025において新作のラグジュアリースマートリング「Ultrahuman Rare」を発表した。この製品は18Kゴールドやプラチナを使用した仕上げが特徴で、ウェアラブルデバイスとジュエリーを融合させた新たなコンセプトを提示している。

高級感あふれる「Dune」「Desert Rose」「Desert Snow」の3色が展開され、それぞれヨーロッパの名だたる高級店で販売予定である。価格は£1,499から£1,799とされ、購入者には専用保険サービスの生涯アクセスも付属する。

OuraやSamsungの製品との差別化を図るために、デザインと素材の本物志向を強調しており、スマートリングの新たな可能性を追求する試みといえる。

ラグジュアリースマートリング市場における新たな挑戦

「Ultrahuman Rare」の登場は、スマートリング市場に新たな方向性を示している。従来、スマートリングはチタンやセラミックといった耐久性を重視した素材が主流であったが、今回の製品は18Kゴールドやプラチナといった高級素材を採用している点で異彩を放つ。

特に、OuraやSamsungのリングが物理蒸着(PVD)で仕上げた金属カラーを用いる中、「Rare」は本物の貴金属で仕上げられていることが差別化要因である。高級スマートリングという新しいカテゴリは、ウェアラブル市場の拡大に寄与する可能性がある。

Ultrahumanのモヒット・クマールCEOは「技術と贅沢の融合」を謳っており、これは従来のガジェット市場とは一線を画すものである。しかし、高価格帯ゆえに製品がどの程度受け入れられるかは未知数である。こうした戦略は、Apple Watchのエルメスコラボや特別モデルと同様、話題性の確保を意図したものとも考えられる。

美しいだけではない、職人技とテクノロジーの結晶

「Ultrahuman Rare」は単なる装飾品ではなく、精密なウェルネスデバイスとしての機能を備えている。同社が手掛ける他の製品と同様、心拍数、ストレスレベル、睡眠データのトラッキング機能が搭載されており、日々の健康管理をサポートする設計が施されている。これにより、使用者は見た目の美しさと実用性を両立できる。

注目すべきは、そのカラーバリエーションが18Kゴールド仕上げの「Dune」、18Kローズゴールド仕上げの「Desert Rose」、プラチナ仕上げの「Desert Snow」という三種類に分かれている点である。これらはファッションアイテムとしても魅力的で、パリやロンドンの高級百貨店「Printemps」や「Selfridges」での販売を予定している。

ただし、純度の高い金属は柔らかく、耐衝撃性に劣るため、スポーツやアウトドア用途には向かない可能性がある。これについては同社もジュエリーとしての価値を重視したと説明しており、装飾品としての位置付けを明確にしている。

限定モデルの魅力と市場動向

高価格帯で限定販売される「Ultrahuman Rare」は、ステータスシンボルとしての側面を強く持つ。限定素材を使用したガジェットは過去にも存在し、特定の市場層から高い支持を得てきた。たとえば、Apple Watchエルメスエディションは一般的なモデルより高価格であるにもかかわらず完売する例もあった。

一方で、高級スマートリングの普及には課題も存在する。市場全体のトレンドとしては、機能性とコストパフォーマンスのバランスが重視されるため、特定の富裕層向けアイテムが一般市場へ波及するには時間を要するかもしれない。

しかし、スマートリングの新機軸を模索する同社の姿勢は、今後の市場動向に一石を投じる存在であることは間違いないだろう。