CES 2025で発表されたLenovoのThinkBook Plus Gen 6は、ロール可能ディスプレイを搭載した画期的なノートPCである。この14インチのOLED画面は、ボタン操作やジェスチャーで16.7インチまで拡張可能という新機能を備え、従来のデュアルディスプレイ環境を再定義する。
搭載されたIntel Core Ultraプロセッサーにより、AI処理をローカルで実行できるNPUも内蔵。価格は3,499ドルからで、主にプロフェッショナルやクリエイターをターゲットにしている。最新技術による利便性と革新性が、ノートPCの新たなスタンダードを築く可能性を秘めている。
ロール可能ディスプレイが切り開く新たな使用体験
ThinkBook Plus Gen 6の最大の特徴であるロール可能ディスプレイは、物理的な制約を超えた柔軟性を提供する。この14インチOLEDディスプレイは、必要に応じて16.7インチまで拡張可能であり、タスクに応じた表示領域の最適化が可能だ。ボタン操作やジェスチャーで直感的にサイズを変更できる仕組みは、従来のディスプレイ技術では実現不可能だった。
Lenovoの公式発表によれば、この技術はユーザーの作業効率を向上させることを目指している。特に縦長表示が得意なこのモデルは、スクロールの頻度を減らし、長文資料やコード編集などに最適な環境を提供する。
これにより、クリエイターやビジネスユーザーにとって、デュアルディスプレイの代替手段としても注目されるだろう。一方で、耐久性や重量の増加が懸念されるが、今回のCESでの展示では高い完成度が示されている。これが普及することで、ノートPCの設計における新しいトレンドを生む可能性がある。
AI技術の進化がもたらすプロフェッショナル環境の強化
このモデルに採用されたIntel Core Ultraシリーズ2プロセッサーは、ローカルでAI処理を行えるNPU(ニューラルプロセッシングユニット)を内蔵している。これにより、クラウドへの依存を減らし、高速かつプライバシーを重視したAI機能が利用可能である。
たとえば画像や動画編集におけるリアルタイム補正、文書作成時の効率的な提案、さらには会議用のノイズキャンセリングなど、実用的なAI機能が期待されている。一方で、AIの機能強化がもたらす価値はユーザーのニーズに大きく依存する。
AIによる作業効率化は、時間の節約や精度の向上をもたらす一方で、習熟が必要な場合もある。Lenovoは、この技術がクリエイターやプロフェッショナルの作業負担を軽減し、さらなる可能性を広げると強調している。AIがもたらす変革は、今後のノートPC選びの新しい基準となるだろう。
次世代PCの課題と未来への期待
ThinkBook Plus Gen 6の価格設定は3,499ドルからと高額であり、主にプロフェッショナルやクリエイターを対象にしている。そのため、一般ユーザーへの普及には時間がかかる可能性がある。また、最新のNVIDIA専用グラフィックスを搭載していない点は、ハイエンドなグラフィック用途にはやや物足りなさを感じさせる。
しかし、ロール可能ディスプレイという大胆な技術とAI搭載の利便性は、他のメーカーに新たな挑戦を促す可能性がある。このような先進技術がノートPC市場全体に広がることで、価格が下がり、一般ユーザーにも手の届く存在になる日が来るかもしれない。
CES 2025での展示が示すように、LenovoのThinkBook Plus Gen 6は単なる新製品ではなく、未来のPC設計における重要な一歩であるといえる。